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特別調査委員会による調査報告書受領に関するお知らせ(ア イ ・ エ ス ・ ビ ー)

特別調査委員会による調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)

ア イ ・ エ ス ・ ビ ー(東証プライム)のプレスリリース(2月28日)。

スリーエスという連結子会社(同社に吸収合併された連結子会社インフィックスを含む)において、同社の取締役により不適切な取引が行われていた疑いについて調べていた特別調査委員会の報告書を受領したとのことです。20ページ強の報告書(開示版)も含まれています。

報告書によると、税務調査がきっかけで、特別調査委員会を設置して調べることにしたそうです。

「特別調査委員会による調査の結果、判明した不適切な取引の概要は以下のとおりであります。

行為者は、①2015 年から2022 年の期間において、スリーエス社の取締役でありながら、いずれも取締役会の承認を得ることなく会社業務と同種の業務を個人で受注し対価を得た、②2015 年から2022 年の期間において、スリーエス社の取引先に対し実際の作業の対価を超える水増し額を請求するなどして得た取引の対価について、情を通じた外注先2 社を経由して実際の業務を伴わない架空の外注を形式的に行い、当該最終外注先から当該架空の外注費から外注先の手数料等を控除した金員をキックバックとして現金で得た(そして受領した金員の大半を取引先に対し提供等した)、といった不適切な取引を行っていました。」

②は、結局、取引先(売上先)に対して水増し請求し、当社最終外注先と行為者(子会社取締役)を経由して、キックバックしていたということなのでしょう。

報告書より架空取引の手口。

「本件架空外注取引については、旧 IFX 社または SSS 社が、B 社を発注者とする水増し取引を受注する場合(B 社ルート)と、D 社を発注者とする実際の作業を伴わない取引等を受注する場合(D 社ルート)が存在する。

外注側では、実際の作業を伴わないことを通じた上で、水増し額等について E 社に外注がなされ、これに基づき E 社宛に支払いがなされ、その後、E 社から F 社宛に支払いがなされ、水増し額等であることを通じた J 氏から A 氏に対してキックバックとして金員が交付された。A 氏は、当該キックバックの一部を I 氏へ提供していたほか、B 社関係者への接待交際費の一部に支弁していた。」(報告書12ページ)

A氏(子会社取締役)へのキックバックは、計125,950千円です(報告書11~12ページ)。

(報告書13ページより)

過年度訂正は行わず、未発表の2022年12月期決算で修正するようです。

「2022 年 12 月期決算へ与える、本事案発覚による影響額は、売上の取消額1億 90 百万円を特別利益の「債務免除益」へ計上し、外注費の取消額1億 66 百万円、消費税の延滞税等 29 百万円の合計1億 96 百万円を特別損失の「不正関連損失」へ計上しております。また、本事案発覚による修正申告に伴う過年度法人税額等1億 18 百万円を「法人税、住民税及び事業税」に計上しております。」

売上水増し分は、いったん取り消すけれども、売上先に返金しないので、債務免除益、外注費の水増し分も取り消すけれども、支払い先から返金させるわけにはいかないので、損失計上ということでしょうか。(売上先から返せといってきたらどうするのでしょう。)

結局、ほぼ税金分だけ実損ということのようです。

それにしても、B社のI氏は今どうしているのでしょう。

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