東京証券取引所は、(株)ファインシンター(東証スタンダード)に対して、改善報告書の徴求及び公表措置を実施することを発表しました(2024年11月22日)。
「理由の詳細」より。
「株式会社ファインシンター(以下「同社」という。)は、2024年9月30日、同社及び同社子会社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、同日、過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらにより、同社のインドネシア子会社において、その元社長の指示のもと棚卸資産の架空計上により原価が過少計上されていたこと、また、これに伴い減損損失が未計上であったことが明らかになりました。また、同社の国内工場において、複数の取締役による承認・黙認のもと棚卸資産の廃却先延ばしにより原価が過少計上されていたことなどが明らかになりました。その結果、同社は、2021年3月期から2024年3月期の決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2021年3月期において営業利益及び経常利益が3割以上減少するとともに、2022年3月期において親会社株主に帰属する当期純利益が黒字から赤字に転落することなどが判明しました。
こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ インドネシア子会社において、地位や権限において強い力を持つ駐在員に対し、現地従業員が意見等することが難しい状況が存在する中、担当の硬直化などにより子会社の取締役など駐在員間の相互けん制機能も弱体化していたこと。
・ 同社の経理部に求められる役割が拡大し、業務が過多となる中で、決算期における海外子会社を含む子会社の財務分析が十分に行われなくなっていたことに加え、インドネシア子会社に対する内部監査が10年以上実施されていないなど、海外子会社の管理体制が不十分であったこと。
・ 同社では、棚卸資産の廃却手続きに関与する多数の者が関係規定の存在を認識せず、規定どおりの運用がなされていなかったこと。また、滞留棚卸資産の評価損に係る明確な規定が存在しないなど、棚卸資産の会計処理に係る仕組みが十分に整備されていなかったこと。
・ インドネシア子会社において内部通報制度が整備されていなかったほか、同社の内部通報制度では海外子会社従業員が通報対象者となっていなかったなど、内部通報制度の整備が不十分であったこと。
以上のとおり、本件は、同社における海外子会社の管理体制の不備や棚卸資産の会計処理に係る運用の不備などに起因して、投資者の投資判断に相当な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであり、同社の適時開示体制について改善の必要性が高いと認められます。...」
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