会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

破綻の戦犯はベンチャーキャピタルか監査法人KPMGか(日経より)

破綻の戦犯はベンチャーキャピタルか監査法人KPMGか

シリコンバレーバンク(SVB)破綻の「戦犯」としてKPMGの名前が欧米メディアで挙がっているというコラム記事。

「まず、目を引く見出しがKPMG。同社がSVB監査結果を問題なしと発表した14日後に同行は破綻した。同監査法人はシグネチャー・バンクも担当。やはり監査後、特段の指摘もないまま、11日後に同行も破綻した。どちらも、2022年度の監査なのだが、それでも、リスクについての言及程度はあってしかるべきだ、との論調だ。KPMGは、顧客の機密保護義務により、具体的事例についてコメントは出来ないが、一般論として、監査後に起きたことについて責任は負いかねるとの声明を出している。更に、KPMGは、ファースト・リパブリック・バンクも監査していた。

KPMGの視点では、どちらに転んでも負けの状況であった。監査結果で警告を発すれば、取り付けの引き金を引くか、騒動をエスカレートさせたであろう。」

具体的には、監査報告書において、ゴーイングコンサーンとして存続する能力に疑義があるといった記載をするかどうかになりますが、もし、記載していれば、その時点で取り付け騒ぎを起こしていたかもしれません。別の方法としては、監査手続未済を理由に、監査報告書発行を延期することも考えられますが、KPMGには、そこまでの危機意識はなかったのかもしれません。

いずれにしても、監督当局からは、監査意見の形成過程や監査報告書の記載事項について調べられるのはもちろんのこと、決算数値の個々の項目の監査手続(例えば時価評価が絡んでいるようなもの)についても、調べられるでしょう。

(補足)

 SVB Financial Groupの2022年12月期アニュアルレポート。監査報告書(2月24日)は92~94ページ。

https://d18rn0p25nwr6d.cloudfront.net/CIK-0000719739/f36fc4d7-9459-41d7-9e3d-2c468971b386.pdf

正確に読めていないかもしれませんが、ゴーイングコンサーンにはふれていないようです。

CAMは、ローンと無担保ローンコミットメントの貸倒引当金Allowance for credit losses for loans and unfunded loan commitments for certain portfolio segments evaluated on a collective basisです。

3月10日提出のFORM 8-K。

https://d18rn0p25nwr6d.cloudfront.net/CIK-0000719739/bd88776f-cd49-486a-a9b3-56a2f72a3686.pdf

Item 1.03. Bankruptcy or Receivership

On March 10, 2023, SVB Financial Group’s (the “Company”) wholly owned subsidiary, Silicon Valley Bank (the “Bank”) was closed by the California Department of Financial Protection and Innovation, and the Federal Deposit Insurance Corporation was appointed as receiver. The Company is no longer the parent company of the Bank.

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