日本大学やその関係者が背任容疑で家宅捜索を受けた事件の続報。
理事長の自宅まで捜索を受けています。
「東京地検特捜部は8日、日本大学の付属病院の建設工事をめぐって背任の疑いがあるとして、大学の本部や大学の関連会社「日本大学事業部」それに田中英壽理事長(74)の自宅などを関係先として捜索しました。」
容疑の中身は...
「関係者によりますと、この事件で背任の疑いが持たれているのは「日本大学事業部」の役員を務める大学の幹部で、都内にある日本大学医学部附属板橋病院の建設工事に関連した業者との契約をめぐって大学側に損害を与えた疑いがあることが新たにわかりました。」
設計事務所との契約に関連して数億円の資金流出があったとのことです。
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日大理事長宅を捜索 東京地検、病院工事めぐる背任容疑の関係先(朝日)(記事前半のみ)
「関係者によると、日大は20年、医学部付属板橋病院(板橋区)の建て替え工事の設計監理を、都内の設計事務所に二十数億円で発注した。この契約に関連し、日大側の数億円の資金が不当に流出した疑いがあるという。」
日大は以前から特捜部にマークされていたそうですが、特に、100%子会社が問題になっています。
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幹部背任容疑の日大、私大最大規模 経営実態見えにくく(日経)(記事冒頭のみ)
「関係者の話によると、以前から大学の事業や運営を巡って不透明な資金の存在が疑われていた。
特捜部での捜査経験がある検察幹部の一人は「(日大は)歴代特捜部の申し送り事項だった」と明かす。疑惑の舞台として関係者の間で取り沙汰されてきたのが、日大が10年に全額を出資して設立した日本大学事業部(東京・世田谷)だった。
同社のホームページなどには「大学のスケールメリットを生かした事務の効率化」「事業活動で得られた収益を日本大学に還元する」などと経営方針が掲げられている。
日大の理事やOBが取締役や監査役に名を連ねており、「情報開示に消極的だった」(民間信用調査会社)。大学関係者は「事業部の経営方針や事業実態は学内でも一部の関係者しか知らなかった」と話す。
日大が100%出資しているため、外部からの経営体制のチェックも働きにくい。」
日本大学自体は、補助金を受け取っていて、法定の学校法人監査を受けているはずですが、学校法人会計には連結はないので、監査人も、子会社の実態まではよく調べていないおそれがあります。
理事長については...
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日大本部や田中英寿理事長宅を家宅捜索、外部に不透明な資金流出疑い(日刊スポーツ)
「田中理事長は5期目。18年に起きたアメリカンフットボール部の悪質反則問題を巡り、大学の教職員組合から辞任要求を受けたり、国の私学助成金が減額されたとして損害賠償を求める訴訟を起こされたりした。」
大学の関係者からも、すでにいろいろ指摘されていました。
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日大・田中理事長を元副総長らが刑事告発…タックル問題から1年何も変わらず、志願者激減(2019年)(Business Journal)
「つくる会はさらに、田中理事長体制下で噴出している、さまざまな疑惑についても追及する構えだ。5月4日には、文部科学大臣宛てに要望書を提出した。大学の監督所轄庁として、次の3点について対応するよう求めている。
(1)早急に日本大学自体の経営・経理実態、並びにその学校法人と事業部との関係、事業部の経営・経理実態等について監査(立ち入り調査等)を実施し、適宜必要な措置命令等を発すること。
(2)田中理事長の反社会的勢力との交際関係をめぐる指摘は根強く、事実であれば、大学理事長として全く相応しくない行跡であり、速やかに自ら真実を積極的に説得力ある釈明をするよう行政指導をすること。
(3)日本大学への私学助成金減額の理由の詳しい内容の開示と、大学が何らかの改善措置をとったとすればその内容を開示すること。
3点のうち、(1)と(2)は説明が必要だろう。(1)の事業部とは、株式会社日本大学事業部のことだ。各学部に必要なものを一括購入するなど、大学の運営を補佐する目的で2010年に設立された。ところが、業務内容は保険代理店から冠婚葬祭まで約70種類に拡大し、売り上げも2017年12月期には69億円に急拡大している。
つくる会によれば、大学の運営とは関係なく利益を追求しているばかりか、特定の業者との取引や、経理などが不透明で、情報公開も十分になされていないという。日大が100%出資する会社として、適切な経営がなされているかどうかについて、大学と事業部の双方を監査するよう求めている。
(2)については、田中理事長と暴力団関係者の交際を報じる記事が国内外のメディアで報道されていることを受けて、実態がどうなっているのかを行政指導によって明らかにすることを求めたもの。これらの問題は、アメフト部の危険タックルの前からくすぶっていた。」
こんな本まで出ています。
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ちょうど文部科学省では、私立大学のガバナンスに関する検討を行っています。今回の捜査は、国策に沿ったものなのかもしれません。
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当サイトの関連記事(文部科学省の「学校法人ガバナンス改革会議」について)
(補足)
病院工事で背任容疑 日大など捜索 東京地検特捜部(Yahoo)
「その後の関係者への取材で、関連会社の取締役で大学の理事も務める男性が大学に損害を与えた背任の疑いがあることが分かりました。
日大付属板橋病院の建て替え工事を巡り、外部に発注された二十数億円の設計監理の契約に関して大学側の資金約2億円が流出したとみられていて、この理事が関与した疑いがあるということです。
理事の知人:「(理事は)大学のなかの実力者。日大の売り上げのため、全部を自分で精査している」」