あずさ監査法人による「有価証券報告書の開示に関するデータ分析」の結果です(全8ページ)。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正により、2023年3月期から有価証券報告書の「従業員の状況」における人的資本の多様性に関する指標と「サステナビリティに関する考え方及び取組」が記載項目として追加されました。今回あずさ監査法人は、新たに追加された人的資本とサステナビリティ情報の開示データを使って、これらの開示データと投資行動の関係性や上場会社が開示する情報量の変化について分析を行いました。」
「分析結果の主なポイントは、以下の通りです。
- PBRを基準とした女性管理職比率と男女の賃金差異の分析によると、一般的に、女性の活用が進んでいる会社ほどPBRは高く、進んでいない会社ほどPBRは低い傾向がある。
- 女性管理職比率の分布については、PBR1倍未満の会社の平均値が7.2%であったのに対して、PBR1.5倍以上の会社の平均値は14.2%と大きな差異が確認された。
- 男女の賃金の差異については、PBR1倍未満の会社の平均値が65.8%であったのに対して、PBR1.5倍以上の会社の平均値は69.3%と若干の差異が確認された。
- 東証グロースに上場している会社は東証プライム・スタンダードに上場している会社と比べて、女性管理者が相対的に多い会社の比率が高いことが判明した。
- 東証プライムに上場している会社は、東証スタンダード・グロースに上場している会社に比べて、「サステナビリティに関する考え方及び取組」において、サステナビリティ情報の記述量が多くなる傾向にある。」
分析結果もさることながら、AIをつかって分析作業を効率的に行ったことを強調しているようです。
「今回の上場企業の3指標のデータ収集にあたっては、金融庁のEDINETから取得した有価証券報告書のXBRLファイルを、ChatGPT API を用いて処理を行うことで、1社あたり数十秒程度、すなわち、2023年3月決算会社2,551 社について30時間余で3指標データの抽出を完了することができました。」(報告書2ページ)