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フジにCMを出し続けて“風評被害” 弁護士事務所、苦渋の声明「費用をドブに捨てるほどの資金力は…」(スポニチより)

フジにCMを出し続けて“風評被害” 弁護士事務所、苦渋の声明「費用をドブに捨てるほどの資金力は…」

フジテレビにCMを出し続けている弁護士事務所の言い分を紹介した記事。

「同法律事務所(ベリーベスト法律事務所)はCMを流し続けているとしてネット上でさまざまな声が上がった。(同法律事務所の代表である)酒井氏は「フジテレビでテレビCMを流していると、視聴者の方々からご批判のご連絡をいただくのだが、全くのとばっちりである」と難色を示し「CMをAC広告に切り替えたところで、投下した広告費が戻ってくるわけでもなく、広告費用分の損害が発生するだけである。フジテレビが損害を補填してくれるわけでもない。ナショナルスポンサーのようにCM費用をドブに捨てられるほどの資金力があるわけではないから、イメージが悪くなるリスクを冒してでも、テレビCMを流さざるを得ないが、そうすると“接待を受けていたのに違いない”などと想定の斜め上からのご指摘を受けたりする」と吐露した。」

この法律事務所は、風評被害はあるものの、支払った(あるいは支払う約束になっている)広告費に見合った広告サービスを受けているわけですが、広告費をどぶに捨てている多くの企業は、この広告費についてどのように会計処理すればよいのでしょうか。

例えば、12月決算の会社(あるいは12月末が四半期決算日である会社)で、昨年12月までにフジテレビと契約を締結し、今年1月から3月までのスポンサー枠を買い取っていたのに、1月22日からAC広告に切り替えたとすると、どぶに捨てることになる切り替え後の広告費は、2024年12月決算で引当てする必要はないのでしょうか。

決算日までに発生済みの事象(12月までに契約している)を原因として損失が発生するのですから、引当金計上という考え方もありそうです。実際に決算日後に無駄な広告費が発生しているのですから、おかしな考え方ではないでしょう。金額の見積りも容易です。

他方、広告費に見合う広告サービスをフジテレビから受け取る権利(まだ経過していない期間に相当する部分)が、消滅したわけではなく、今日フジテレビに電話すれば、明日から通常のCMを流してもらう(広告サービスを受領する)ことは可能でしょう。可能だけれども、自発的に広告サービスを受け取る権利を放棄しているだけだと考えれば、権利放棄した部分が権利放棄した時点で費用になっていればよいともいえます。

どちらがただしいのか、判断がつきません。あるいは別の考え方もあるかもしれません。

フジテレビ関連記事。

【独自】広告返金交渉、契約終了の動き フジCM差し替え、地方局にも(Yahoo)(共同通信配信)

「フジテレビのCMを差し替える動きが相次いでいる問題で、一部の企業が差し替えに伴う広告料金の返還交渉や、広告契約期間の前倒し終了を検討していることが22日、分かった。フジテレビ系列の地方局にもCM差し替えが波及していることも判明した。」

ACジャパンの公共広告に差し替わった広告枠は契約済みのため、原則として出稿費用は返還されない。ただ一部企業から「返還を交渉したい」との声が上がっている。ホンダやSUBARUなどはフジ系列局のCMも差し替えを決めた。」

フジテレビの当期の収益認識は、難しい問題が生じそうです。

元フジテレビ専務「中居さん問題把握当日、社長に伝えた」(日経)

「関西テレビ放送(大阪市)の大多亮社長は22日の定例記者会見で、フジテレビジョンを巡るタレントの中居正広さんと女性とのトラブルについて説明した。トラブルが起きた当時、フジテレビの専務を務めていた大多氏は事案を把握した当日に、フジテレビの港浩一社長に伝えたことを明らかにした。」

「フジテレビで中居氏の出演番組はトラブルが報告された後も放送され続けた。大多氏は当時、中居氏の番組を継続するか否かを判断できる立場の1人だった。大多氏は出演番組の放送をとりやめなかった理由を問われ「打ち切りにすることが女性にどのような影響があるか考えた」「中居氏を守ろうという意識はなかった」と説明した。」

自分も当時フジテレビの取締役だったのに、社長に報告しただけで、責任はないというのはおかしいでしょう。

こんな社長では、関西テレビへのCM出稿も要見直しなのでは。

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