会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

社会福祉法人の資金5・7億円着服か、元理事長2人逮捕…約30億円流出(読売より)

社会福祉法人の資金5・7億円着服か、元理事長2人逮捕…約30億円流出

当サイトでも何回か取り上げた社会福祉法人「サンフェニックス」の巨額資金流出事件で、同法人の理事長だった医師と公認会計士(業務廃止)が逮捕されたそうです。

「2人は共謀して2018年7月~21年4月、当時理事長のS容疑者(会計士)が管理していた同法人の口座から、N容疑者(医師)の口座に「医療協力の対価」名目で約5億7000万円を送金し、横領した疑い。」

社会福祉法人は、建前上は、売買できないことになっていますが、会計士は経営権を移転する契約を結び、別名目で理事長だった医師に資金提供していたようです。

「社会福祉法人は公益性や非営利性が求められ、法人の売買は認められていないが、2人は16年3月、N容疑者がS容疑者に42億円で経営権を移転する契約を締結。支払いは、▽S容疑者側がN容疑者側に20億円を出資する▽医療協力の対価としてN容疑者に年2億2000万円を10年間提供する――方法で行うことになった。

この契約に基づき、同法人は同5月以降、N容疑者が院長を務めるクリニックに対し、医療協力の対価として5年間で計11億円を支払っていた。残り5年間の支払いが残っていたが、同法人の資金繰りの悪化を受けて21年4月に支払いを停止していた。

警視庁が「医療協力」の実態を調べたところ、N容疑者のクリニックは当初、同法人の高齢者施設に医師を派遣したり緊急の相談に応じたりしていたが、18年5月頃に対応を終了していた。これを踏まえ、警視庁は少なくとも以後に支払われた約5億7000万円については、法人資金の流用にあたると判断した。」

医療協力で法人に対する何らかのサービス提供があれば、横領とはいえない可能性がありますが、サービス提供が終わった後の分については、本来であれば支払う理由がないでしょうから、横領ということなのでしょう。

逮捕容疑の医療協力の報酬のほか、20億円の資金流出があります。警察はこれも調べていくのでしょう。

「経営権の移転後、同法人からN容疑者が代表を務める香港法人に対し、医療コンサルティング会社などを経由して20億円が送金されていた。警視庁は、サンフェニックスの売買代金の一部とみている。」

社福法人の買収自体が、本来は許されないことですが、さらに、その買収資金を法人から横領した資金でまかなっていたということですから、より罪が重いと思われます。

この会計士は、会計士協会の元役員です。協会では、この事件を社福インシデントと呼んで、対応を検討していたようです。

(社福法人の経営者になったからといって、まっとうな方法では、大もうけできるとも思えませんが、なぜこんなあぶない橋を渡ってしまったのでしょう。)

社福法人元理事長2人逮捕 広島、5.7億万円着服疑い(日経)

「捜査2課によると、N容疑者がS容疑者に42億円で法人の経営権を移す契約を結び、16年4月に理事長を交代。S容疑者がN容疑者に20億円を出資し、残りは医療協力の対価として年2億2千万円ずつ10年分割で払う条件だった。

N容疑者のクリニックは契約に基づき、法人の高齢者施設に医師を派遣するなどしていたが、18年5月に終了。捜査2課は、医療協力が終わった後に支払われ続けた約5億7千万円が着服に当たるとみている。」

日経は、逮捕されたうちの1人が元会計士だということはふれていないようです。

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