会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

市場へのメッセージ(令和5年1月19日)(金融庁)

市場へのメッセージ(令和5年1月19日)

金融庁の証券取引等監視委員会の広報資料。

今回は「株式会社ディー・ディー・エスにおける有価証券報告書等の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について」の解説が含まれています。

「1.不適正な会計処理

(1)連結範囲に含めるべき海外子会社に対する売上の過大計上

当社は、シンガポール所在法人との間のライセンス契約に基づくソフトウェアライセンス等販売に関し売上を計上しているが、当該売上は、
・当該シンガポール法人の株主が、当社元役員が全額出資する法人であること
・当該シンガポール法人が事業を運営するには、当社のソフトウェアライセンス提供が必須であり、当社との契約が、同法人の事業等の方針の決定を支配すると認められること
から、当該シンガポール法人は当社の子会社に該当するものとして、連結内部取引と認められる。

したがって、本来は消去すべき売上を計上することにより、売上を過大に計上した。

(2)役員貸付金に対する貸倒引当金繰入額の過少計上

当社から当社元役員に対して行った貸付金については、
・担保とされた元役員所有の非上場株式は、貸付金の回収に足る資産ではなかったこと
・元役員の預金残高等の資産状況からは、返済能力が認められないこと
から、貸倒引当金を計上すべきであったにもかかわらず、貸倒引当金を計上しないことにより、貸倒引当金繰入額を過少に計上した。

2.重要な事項の不記載の概要

重要事象等が存在する場合には、有価証券報告書及び四半期報告書の第一部【企業情報】第2【事業の状況】の【事業等のリスク】において、重要事象等が存在する旨及びその内容を開示する必要がある。

当社は、本来は、継続して営業損失が発生するなど、重要事象等が存在しているにもかかわらず、上記1.の不適正な会計処理を行うことにより、営業利益が発生したとして、重要事象等が存在する旨及びその内容を開示しなかった
 
3.訂正報告書等における多くの虚偽記載の概要

当社は上記1.の不適正な会計処理及び上記2.の重要事象等の不記載を訂正等するにあたり、
①貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金から前事業年度の繰越利益剰余金を差し引いた金額と損益計算書の当期純損失が整合していなかった
②貸借対照表の各流動資産科目に記載された金額の合計と流動資産合計に記載された金額に差異が生じていた
③貸借対照表の各流動負債科目に記載された金額の合計と流動負債合計に記載された金額に差異が生じていた
④負債合計に記載された金額と純資産合計に記載された金額の合計と負債純資産合計に記載された金額に差異が生じていた
など、多くの虚偽記載のある連結財務諸表等を作成した。」

訂正報告書の虚偽記載は、単純ミスのようですから、慎重にチェックしていれば、防げるものだったのでしょう。(監査人のチェックがいい加減だった?)

このほか、スクウェア・エニックス従業員によるインサイダー取引事件についても解説しています。

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