日産前会長のゴーン氏が日経に続いて、フランスのメディアのインタビューを受けたそうです。
日経のインタビューとほぼ同じですが、日経にはなかった役員報酬虚偽記載についても聞いています。
「起訴された役員報酬の虚偽記載に関しては「報告されていないお金は1円も受領していない」と反論。「受け取ってもいない収入をごまかしたと批判されている」と無実を主張した。」
ほかの容疑はともかく、この虚偽記載は濡れ衣の可能性が高いと思われます。特捜部の中には会計や開示のわかる者がいないのかもしれません。(それでも日本の裁判所は結局有罪にするのだとは思いますが)
人質司法について...
「「なぜ有罪判決の前に既に処罰されているのか」と不満を訴えた。」
「保釈請求が却下されたことに対しても「他のどの民主主義国家でも普通のことではない」と強く非難した。一方で「私の前には日産の集団が立ちはだかっている。私は70日間以上拘置所にいる。携帯電話もパソコンもなく、どうやって自己弁護できるのか」と無力さもにじませた。」
民主主義国家というより中国の司法に近いとみられているのかもしれません。
「始めよう」と切り出す=面会時のゴーン被告-仏AFP通信(時事)
ゴーン被告、勾留は「他の民主主義国なら普通でない」 外国メディア初インタビュー(AFP)
「ゴーン被告は、現在の状況について「私はなぜ、有罪を宣告される前から罰せられているのか?」と疑問を呈し、保釈請求が却下されたことは「他の民主国家であったら普通でない」と非難した。
また、自分の逮捕は「裏切りの物語」だという点に「疑いの余地はない」ときっぱり主張。「私の目の前には、日産の一派がいる。この件に関わった100人を超える人々だ。検察当局の70人もいる。そして、私は70日以上も拘束されたままだ」「電話もパソコンもない。どうやって私自身を弁護できるというのだ?」と語った。」
「黒のトラックスーツにサンダル姿のゴーン被告は、感情を見せずに取材に応じたが、家族と話せないことは「非常に辛い」とコメント。「11月19日以降、妻のキャロルや子どもたちとも電話できていない」と訴えた。
また、夜間も照明がつきっぱなしで、時計もないため「時間の感覚がなくなっている」と述べ、「外へ出られるのは屋上に30分だけ。心底、新鮮な空気が吸いたい。確かに私は強い人間だが、もちろん疲れている」と語った。」
裁判が始まるまで1年ぐらいかかるという話もあるようですから、このまま東京オリンピック直前の時期まで拘留を続けるのでしょうか。
日産ゴーン事件関連記事。
ゴーン被告が知る由もなかった転落への序章、側近が準備した筋書き(ブルームバーグ)
記事後半で、特捜部への通報までのいきさつをくわしく書いています。(週刊誌には同じようなことが既に書かれていたようです。)
「事情に詳しい人物によると、ケリー氏からゴーン氏関連の業務を引き継いだマレーシア生まれの弁護士、ハリ・ナダ氏が昨年春、こうした住宅提供に疑問の目を向け始めた。同氏はインタビューに応じず、何が同氏の懸念につながったかは不明だ。
ナダ氏は1990年代から日産に在籍し、ゴーン氏とケリー氏に忠実だった。ケリー氏とは友人で、日産本社の近くのバーで会うこともよくあり、ゴーン氏の報酬のさまざまな面にも密接に関わった。例えば、ケリー氏が2010年に設立したオランダ子会社Zi-Aキャピタルの運営にも携わった。同社はその2年後、ゴーン氏のためにベイルートで住宅を880万ドルで購入、シャンデリアの取り付けなど豪華な改装に600万ドルを費やした。
ナダ氏はゴーン氏の退職後に総額で最大8000万ドルを支払う提案書についても承知していた。ナダ氏は倫理的ジレンマについて同僚にアドバイスを求めたという。自分が不適切な行為をほう助したのか、その場合どうしたらよいのか相談したという。この同僚はナダ氏に同調して協力に同意。ナダ氏はゴーン氏のスタッフの1人、大沼敏明氏にも調査への協力を依頼したという。
調査グループは間もなく、日産の監査法人が1年以上前からZi-Aキャピタルについて不審に思い、事情を調べるためオランダに人を派遣していたことを知った。互いの情報を交換後、ナダ氏らのグループは監査法人と協力、社員からの聞き取りや文書の収集を始めた。こうした活動をゴーン氏に気付かれないようにするのは難しくなかった。同氏が月1回以上日本を訪れることはめったになく、ルノーおよびアライアンス全体に力を注ぐようになっていたが、調査についてルノーは全く知らされていなかった。
つかんだ内容が犯罪に近いと懸念を深めた同グループは、元検事である弁護士に相談。弁護士らは情報を元同僚の地検特捜部メンバーに伝えた。大沼氏はZi-Aキャピタルのアドミニストレーターでもあり、ナダ氏ともども捜査対象となるリスクがあったが、幸運なことに、日本でも司法取引の制度が最近導入され、ゴーン氏有罪の証拠を提供することで両氏は検察と合意を結んだと国内メディアは伝えている。
ナダ、大沼両氏と日産監査役の今津英敏氏は、西川氏向けの正式な報告書作成に取り掛かり、昨年10月提出した。日産幹部によれば、報告書を受け取るまで西川氏は調査について知らなかった。つまり、上級幹部ではなかったナダ氏と大沼氏が、ゴーン氏とケリー氏について検察に通報するという、日産をほぼ確実に危機に陥れる決断をしたことになる。」
「日産がゴーン時代に決別して前進するには、同社自身の法的問題を解決しなければならない。日産はゴーン被告に関連した報酬繰り延べで起訴されており、さらなる法的問題のリスクもある。そうなると、問題の期間を通じて上級幹部であり取締役だった西川氏にスポットライトが当たるのを避けるのは難しいだろう。ゴーン氏同様、日産についても焦点は一つだ。弁護士や監査役を大勢抱え官僚的組織を備えた主要自動車メーカーが、自社のトップの報酬を把握していないなどということがなぜ起こり得たのか。」
ブルームバーグの記事の原文。
↓
Inside the Takedown That Put Carlos Ghosn in Jail(ブルームバーグ)
「日産の監査法人」は原文では、Nissan’s auditorsですが、監査役にもauditorという言葉を使っています。監査法人が動けば経理部門も知っているのが普通なので、内部監査人ならともかく、監査法人が経営トップに知られずにこっそり調べるというのは信じられないのですが...。
(補足)
「日産の関係者」なる人が反論しています。
日産関係者反論「謀反というのはお門違い」(日本テレビ)
ゴーン氏を擁護する発言であれば、会社から報復される可能性があるので匿名でも仕方がありませんが、会社寄りの発言なのですから、名前を名乗って反論すべきなのでは。
「その上で、不正の背景にはゴーン被告が長期にわたり絶対的君主として君臨してきた事実があり、本人にそのことへの認識が足りていなかったと感じた、と述べた。」
この発言は、ゴーン氏以外の取締役・監査役がガバナンスにおける役割を果たしていなかったことを自白しているようなものでしょう。
「外部との私的な飲み会は禁止」日産の締め付けに社員が悲鳴か(ライブドア・ニュース)
一般社員は締め付けているようです。
「「外部との私的な飲み会について当分の間、『禁止令』が出ました。...」」
「特捜部がゴーン起訴に踏み切ったのは、当然、証拠調べが全て終わったからだ。日産社員が誰と会おうが、飲み会で何を話そうが捜査に何ら支障はないはずだ。にもかかわらず、社員に「箝口令」を敷くのは補充捜査が続いているということだ。
東京拘置所で30日、日経新聞のインタビューに応じたゴーン被告は「なぜ勾留が続いているのか理解できない」と不満タラタラだったが、なるほど、各国メディアが日本の司法当局の「人質司法」をどんなに批判しようが、ゴーン保釈が認められないワケだ。」
コメント一覧

事大の騎士
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事