監査法人のビジネスモデルが変わる可能性も
監査法人のデジタル技術への対応などについて、4大監査法人と会計士協会に聞いた記事。バランスよく書かれていると思います。
「トーマツは2015年に「監査イノベーション」という組織を立ち上げ、既存の監査を高度化、効率化する取り組みを進めている。2012年以降の累計で約40億円の研究開発費をつぎ込んだ。」
「EY新日本は監査の未来像について、2025年までのロードマップを描く。すでに財務諸表や仕訳・取引の分析にAIを活用。」
先日当サイトでも取り上げたKPMGのクララというシステムの動画にもふれています。(東洋経済のこの記事の写真は動画のもの)
「2014年に発足した次世代監査技術研究室の室長を務めるあずさの小川勤パートナーは「動画で使われている技術は、データをリアルタイムで授受できること、AIによる高度なデータ分析、SNSや社員の入退出情報などの非財務データの活用、そしてヒテッシュ(動画の登場人物)のようなデータ分析者の存在だ。一つひとつの技術はすでに確立し、『クララ』はパイロットレベルではすでに動き出している」と話す。」
データ解析や常時監査について...
「PwCあらた監査法人の久保田正崇パートナーは「以前は大きなデータをもらっても使いこなせなかったが、ここ数年でビッグデータの解析技術が進んでコストも下がり、誰でも、低価格で使えるようになった。システムの直結はアメリカでいま試作しているが、おそらく3~5年で一般的になり、会計士の仕事のやり方が大きく変わるだろう」と話す。」
人材育成など...
「「入社3、4年目くらいの若手がやってきた、現場の資料を1つずつ丹念に読み込んでいくキャリアが積めなくなる。それなくしても判断ができるような教育をしないといけない」(PwCあらたの久保田氏)
これまで会計士中心の組織だった監査法人にデータサイエンティストら、違う世界のプロが入ってきて、会計士は彼ら彼女らを束ねるような、マネジメント的役割を求められる。資料を現場に取りに行く必要がなくなれば、働き方も変わっていくかもしれない。」
大手と中小の格差について...
「日本公認会計士協会の次期会長で、同協会の報告書『次世代の監査への展望と課題』の作成に携わった手塚正彦常務理事は「IT化にはお金がかかる。資力のない中小法人がITをどう実装していくか、協会としても課題として認識している」と頭を悩ませる。」
そのほか、「タイムチャージ方式」の監査報酬も変わるだろうといっています。
結論は...
「会計士という仕事はなくならないにせよ、AI時代には監査法人の組織のあり方やビジネスモデルが大きく変容していく可能性がある。」
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