東証一部上場の中堅商社「兼松」の連結子会社「新東亜交易」と石油の取引業者が、実際には商品を動かさず伝票上だけで売買する「循環取引」をしていたという記事。「直近の取引額は年約二百億円に上っていた」そうです。
「関係者によると、問題とされるのは、新東亜が名古屋市の元売り業者から仕入れ、岐阜県の石油卸業者に売る取引。
正常な取引の場合、元売り業者の請求伝票は、新東亜だけを介して石油卸業者にいく。しかし、新東亜は資本関係のある大阪市の業者に振り替えるよう元売り業者に指示。伝票はその後、数社を経由し、岐阜の卸業者に戻り、新東亜に転売された形になっていた。
介在した業者は、それぞれ仕入れ額の1%以下のマージンを上乗せして伝票を移動。岐阜の卸業者は現金決済を条件にダンピング価格で新東亜に卸していた。岐阜の卸業者は赤字を背負うことになるが、運転資金を確保できる仕組みだったという。」
記事に書かれているように、岐阜の業者の資金繰りを助けるための取引のようです。ただ、このスキームではリスクを負うのは形式上岐阜の業者に転売し売掛が残っている業者になってしまいます。新東亜に裏で保証させるような取り決めがあったのでしょうか。
兼松のプレスリリース(PDFファイル)
親会社の兼松によれば、問題の取引は「石油の業者間転売取引であり、具体的取引・証憑書類に基づき売上計上をしているものであり、会計上の処理に問題はない」とのことです。たしかに、「循環」というのは大げさかもしれません。新東亜が製品を仕入れるというだけの取引に、別の業者を介在させ、支払のタイミングのズレを利用して、その業者の資金繰りをつけてやったということですから、新東亜にしてみれば、売上や仕入が水増しされたわけではないのかもしれません。ただ、そうした取引形態をとることにより、財務諸表の読者にわからないかたちで、取引先への資金援助をしていたという問題は残ります。また、問題の岐阜の業者の債務に対して、何らかの保証をしていて、それについて開示や(必要な場合)引当金計上がなされていないということになれば、虚偽表示ということになります。
兼松、「子会社の循環取引ない」・一部報道に反論
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