日産のガバナンス改善特別委の報告書を読み解く(記事前半のみ)
日産自動車のガバナンス改善特別委員会の報告書を解説した記事。指名委員会等設置会社は日本企業に合わないのではないか、監査役をしっかり機能させればよいといった意見を紹介しています。
「ガバナンス報告書は格調高い。「不正行為の根本問題を解消し、世界をリードする企業にふさわしいガバナンス体制を構築する」とその目的を高らかに掲げた。
そのうえで、日本の上場企業が課せられる東京証券取引所(東証)のコーポレートガバナンス・コード(統治指針)の存在にふれ、「コードが要求する水準を上回る強固なガバナンスを求めるものである」と訴えた。さらに、国際的な専門家の意見もきき、海外で優れたガバナンスを実現しているケースと遜色のない体制をめざしたという。」
「「経営者の選・解任や報酬の決定をわずか数人の社外の人にまかせて本当いいのでしょうか」と力説するのはコーポレート・ガバナンスに詳しい東京霞ヶ関法律事務所所属の弁護士、遠藤元一さんだ。
問題視するのは、日産のガバナンス改善特別委員会が強くすすめる指名委員会等設置会社という取締役会の形態のことだ。
一般に社長の力の源泉は、人事(指名権)と金(報酬の分配)だと言われるが、この形態は、社長の力の源泉を奪い、取締役の選・解任権や報酬の決定権を社外取締役が過半数を占める指名委員会、報酬委員会に委ね、それらの委員会が株主総会の決議事項を決定できるという仕組みだ。
当然、各委員会の社外取締役には強力な権限が与えられる。社外取締役が仮に独断的な決定を行っても、取締役会でそれを抑止できないという問題点が生じる。
遠藤さんは「事実上、次の社長ら役員の『指名権』まで与えるような仕組みで、社外取締役の考え方一つで威力を発揮しすぎ、暴走を許しかねないという意味で危うさを抱えている」と批判する。」
「米国の取締役会はモニタリング・モデルとして、社長や副社長ら経営幹部(執行部)のパフォーマンスを評価するのに対し、日本の取締役会は、業務執行の意思決定が中心的な役割であると同時に、経営者の監督も担う機関(マネジメント・モデル)と位置づけられている。株主総会にも違いがあり、遠藤さんは、指名委員会等設置会社を採用するかどうかは、このような違いを考慮に入れたうえで決めるべきだという。
日産は、日本の上場企業の7割が採用する監査役会設置会社だ。遠藤さんは「任意で指名・報酬委員会を置き、監査役をしっかりと機能するようにすれば、それでガバナンスを十分に発揮することはできる」と言う。」
日産の報告書は、ルノーの影響力排除という裏の目的がありそうですから、額面どおりに受け取ることはできないのでは。
ガバナンス不全 新設の取締役会議長は榊原氏で機能するか(日刊ゲンダイ)
「西川氏と志賀氏はともに1953年生まれで、1浪した西川氏が入社年次は1年下。大阪府立大卒で傍流のマリーン事業部に配属された志賀氏に対し、主流派の東大卒で購買畑が長く、社長秘書も務めた西川氏。
ルノーとの提携前は出世競争で西川氏が勝っていたが、提携時にたまたま企画室次長で交渉に少し関わった志賀氏が逆転し、3年早く役員に昇格した。それを「西川氏が嫉妬したことから2人は犬猿の仲になった」といわれる。
ゴーン氏はその関係を見抜き、日本人の実力者2人が同調して自分に歯向かってくることはないと高をくくっていただろう。その西川氏が「今回の不正の背景にはガバナンスの問題がある」と言うのには違和感を覚える。」
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