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国際会計基準IFRS反対派"逆転勝利"の裏側で動いていた「日本版ロビイスト」(現代ビジネスより)

国際会計基準IFRS反対派"逆転勝利"の裏側で動いていた「日本版ロビイスト」

最近の反IFRSの動きの中で、新日本監査法人の子会社がロビイストとして暗躍していたという記事。

「反IFRSのキャンペーンを担っていたのは小原泰・新日本パブリック・アフェアーズ代表取締役だ。父親の泰治氏は日本人ロビイストの草分け的存在で、日米通商摩擦などの際に米国でロビイング活動を行っていたという。泰氏も米国でロビイストとしての修行を積んだ経験を生かし、日本でのロビイストの育成やロビイングの定着に力を注いできた。

 政権交代前の自民党だけでなく、当時野党だった民主党にも人脈を構築。霞が関の官僚にも食い込んでいるほか、メディアにも知り合いが多い。議員の政策立案に協力したり、政策の勉強会などを通じて、信頼関係を築いてきた。

 そうした幅広い人脈を武器とし、ロビイング活動を本格化したのは、「国会のねじれ」が生じた自民党政権末期から。自民党の族議員が政策決定権を握っていた時代の終焉と共に、日本にもロビイストの時代がやってきた、というわけだ。」

「小原氏だけでなく、同氏が代表を務める新日本パブリック・アフェアーズが組織として「反IFRS」の活動を行っているのは確かなようだ。東京財団による報告書や著書の取りまとめには、公認会計士の黒石匡昭氏が名前を連ねるが、黒石氏は新日本パブリック・アフェアーズの取締役で、やはりロビイングを担当している。また、新日本パブリック・アフェアーズに勤務した経験のある元経済産業省の官僚が、現在は東京財団の研究員として活躍するなど、新日本パブリック・アフェアーズと東京財団の人的関係は深い。また、様々な政策研究などで経済産業省と研究会を持つことも少なくないといい、反IFRSの姿勢を取る経済産業省との関係も密接である。」

監査法人本体が知らないところで子会社が暴走したのか(「子会社のロビイングに煮え湯を飲まされる」)、あるいは、IFRS推進にのめりこむとあぶない(産業界の反発を買ってしまう)、反IFRSとの二股をかけておこうという意図があったのか、どちらなのでしょう。

公認会計士法改正が挫折したのも、じつはだれかがロビイストに依頼して、つぶしたのではないか、という考えがふと浮かびました。

新日本パブリック・アフェアーズのホームページ

新日本有限責任監査法人グループ

(補足)

ロビイストの活動自体については、きちんとルールを決めて、日本の政治をゆがめない範囲でやってほしいという以外の意見はありません。しかし、大手監査法人がロビイストの会社をもつことについては、問題があると思います。

新日本クラスの大手監査法人になれば、クライアントはさまざまな業界にわたっています。ロビイスト子会社が、ある業界から依頼を受けて、その業界に有利になる(しかし、他の業界には不利になる)ような政策を推進した場合、利益の相反が生じます。同じ業界であっても、ある会社にとっては有利、同業者にとっては不利という政策もあるでしょう。ロビー活動というサービス提供によって、クライアント間の利益相反が生じます。職業倫理上も問題ですし、クライアントからしても、自分たちの業界や自分たちの会社に不利になるような政策を監査法人がロビー活動により推進するのはおもしろくないでしょう。

もちろん、そういった弊害が大きくならない範囲でやっているのだとは思いますが、むしろ、監査法人から独立し、自由な立場でやるべきサービスだと思います。

(補足)

利益相反について書きましたが、監査法人や監査法人の子会社であれば、監査クライアントとの独立性も当然考えなければなりません。例えば、東京電力の監査人やその子会社、ネットワークファームが、東京電力の依頼を受けて、東京電力に有利な支援策のためにロビー活動を行うことは、独立性違反になる可能性が非常に高いといえます。(たぶんしていないと思いますが)
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