企業会計基準委員会は、2016年3月9日の会議で「マイナス金利に関する会計上の論点への対応について」検討しました。その概要が同委員会のサイトで公表されています。
「論点の所在
退職給付債務の計算において国債の利回りを基礎として割引率を決定している場合で、国債の利回りがマイナスとなっているときに、割引率としてマイナスとなった利回りをそのまま用いるか、ゼロを下限とするかについて論点となっている。 」
結論は以下のとおり。
「退職給付債務の計算における割引率について、平成 28 年 3 月決算においては、割引率として用いる利回りについて、マイナスとなっている利回りをそのまま利用する方法とゼロを下限とする方法のいずれの方法を用いても、現時点では妨げられないものと考えられる。」
(これをすなおに読むと、 2016年3月決算以外については会計基準どおりとなりますが、趣旨としては、他の決算期についても選択肢が認められているということなのでしょう。ただし、審議のWebcastを聞くと、今年の3月決算限りで認めるという意見もあるようです。)
マイナスの利回りをそのまま用いる論拠と、ゼロを下限とした利回りを用いる論拠を列挙し、マイナスの利回りをそのまま用いる方が、現行の会計基準に関する過去の検討における趣旨とより整合的だとしています。
しかし、・本論点に対して当委員会としての見解を示すためには相応の審議が必要と考えられる、・国際的にも退職給付会計において金利がマイナスになった場合の取扱いが示されていない、・ゼロを下限とした割引率を用いて決算準備作業をすでに進めている企業がある可能性がある、・システムがマイナスの利回りを基礎とする割引率を用いて退職給付債務を計算するように設計されていない可能性がある、・現時点においてマイナスとなっている利回りの幅を踏まえる、といった理由で、2つの方法を容認するという結論になっています。
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