金融庁の証券取引等監視委員会は、株式会社ディー・ディー・エスに係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、2010年11月19日付で、課徴金納付命令発出の勧告を行いました。
棚卸資産の架空計上等により、「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等(平成20年12月期有報と平成21年3月第1四半期四半期報告書)を提出したとされています。
虚偽記載の有報等を使った届出書により、増資や新株予約権の発行を行っているため、大きな金額の課徴金となっています。
監視委員会のプレスリリースの数字から計算すると、虚偽記載の影響は純資産ベースで約60百万円です。絶対額としては、小さな金額ではないにしても、すごく大きな金額というわけでもありません。平成20年12月期は、純利益が▲1,889百万円(修正後)という大赤字なので、損益については、財務諸表利用者に誤解を与えるような金額ではないと思われますが、純資産の金額が非常に小さな金額(修正後で175百万円)なので、純資産ベースでは大きな影響といえなくもありません。
また、平成21年12月期の売上が急減しています(平成20年1,892百万円→平成21年370百万円)。業績悪化により、不正の重要性がより高まってしまったのかもしれません。
過年度決算短信、四半期決算短信、有価証券報告書、四半期報告書及び有価証券届出書の訂正について(PDFファイル)
訂正に関する会社のプレスリリースをみると、平成20年12月期は、開発費の前渡金として処理すべきものを棚卸資産や工具器具備品で処理していたようです。それだけであれば、損益や純資産にはほとんど影響がないはずですが、なぜか約62百万円を貸倒損失にしており、その金額が影響額となっています。資産やサービスの購入ではなく、外注先の資金繰りを援助するための支出であって、それが無駄になってしまったということなのでしょうか。
監視委、ディー・ディー・エスに3330万円の課徴金納付命令を勧告(ロイター)
平成21年12月期 決算短信(PDFファイル)
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