金融庁は、公認会計士1名の懲戒処分を、2013年3月22日付で公表しました。
この公認会計士がオリンパスの依頼を受けて行った株式会社アルティス等国内企業3社の企業価値評価業務(「価値算定」)に当たって、「職業専門家たる公認会計士として、正当な注意を払って適切な判断で誠実に価値算定を行ったとは認められず、・・・公認会計士法(昭和23年法律第103号)第26条に規定する信用失墜行為の禁止に違反する」としています。
具体的にはこの価値評価業務に関して以下の問題点を指摘しています。
「1.当該公認会計士は、当該価値算定を行うに際して、オリンパス株式会社から評価対象会社である国内3社に関し、事業計画及び事業概要程度の資料の提供を受けているものの、それら以外には財務関係資料等の一般的な資料の提供がないなど、国内3社に関する情報が十分に得られず、適切な価値算定を行い得る状況になかったとみられるにもかかわらず、価値算定を行った。
2.当該公認会計士は、当該価値算定について、国内3社に関する十分な資料の提供がなく経営者インタビューも断られる等のオリンパス株式会社の対応からは、その異常性を察知でき、こうした状況からは、価値算定の結果同社に提出する書面(以下「報告書」という。)が何らか悪用されるのではないかといった観点から、正当な注意を払い、当該価値算定の受嘱の可否を含めより慎重な対応をすべきであったにもかかわらず、そうした対応をとらずに価値算定を行った。
3.当該公認会計士は、平成20年に行った価値算定の報告書に、算出される企業価値に対する継続企業価値の割合が極めて高い旨を記載しているところ、当該継続企業価値は当該公認会計士が自ら選定した類似会社の比準倍率により算出されたものであるなど、不確実性の高い事業計画期間以降の事業の成長性に関して自らの判断で相当に高い成長率を仮定したものとなることを認識していたとみられるにもかかわらず、事業計画の実現可能性や事業計画期間以降の事業の成長性に関する様々な可能性を十分に考慮した検討をせずに価値算定を行った。」
処分の内容は、「業務の停止3月」です。
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