組織委元理事2億3千万円受領 AOKI側から未払い報酬分―電通旧子会社介在・東京地検
東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事(電通元専務)のわいろ疑惑の続報。これまでは、AOKIホールディングスから元理事の会社へのカネの流れが報じられていましたが、それとは別に、電通子会社を経由した流れもあったそうです。つまり、電通の連結の帳簿上、あやしいカネが流れていたということになるので、電通の監査人も、職務を果たすためにはよく調べるべきでしょう。また、先日強制捜査があったことが報じられた別の広告会社(ADKホールディングス)もかかわっているそうです。
「東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が2017年、電通の旧子会社を介し、大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス側からコンサルタント料とは別に計2億3000万円を受領していたことが30日、関係者への取材で分かった。」
「関係者によると、高橋元理事は09年から青木前会長に請われ、ゴルフ事業の相談を受けていたが、報酬の未払いが続いた。17年に入り、電通の旧子会社幹部が青木前会長に清算するよう話し、2億3000万円を支払うことで合意。うち半額は正式契約を結ぶ前に電通旧子会社を通じてコモンズに支払われ、残額も同年中に入金があった。
ところが、青木前会長から「スポーツ界でAOKIの名前を広めたい」と申し出があり、高橋元理事が五輪対策プロジェクト委員を務めた日本馬術連盟と、資金集めに苦慮していた日本セーリング連盟に計6000万~7000万円をAOKI名義で寄付。この際、コモンズから広告大手ADKや大阪市の別の広告会社を通じて送金した。」
日経が先に報じていましたが、若干ニュアンスが違います。
五輪組織委元理事側、2.3億円受領か
AOKI側から、4500万円とは別に(日経)(記事冒頭のみ)
「コモンズはこのうち数千万円を広告大手のADKホールディングス(HD)などを通じて日本オリンピック委員会(JOC)に加盟する2つの競技団体に提供。コモンズの手元には約1億5000万円が残ったという。
関係者によると、高橋元理事は特捜部の任意聴取に対して「09年から助言していたコンサル業務に対する未払い報酬などの趣旨」などと説明。その上で「組織委理事として受け取った資金ではない」と話しているという。
青木前会長は「元理事から選手強化費として支払うよう依頼された」と説明し、約1億5000万円を元理事が受け取ったことは「知らなかった」と述べたという。」
AOKI側の主張では、2.3億円払ったのは、競技団体への寄付であって、元理事の会社が約1億5000万円も中抜きしていたことは知らなかったということになります。しかし、競技団体への選手強化費の寄付であれば、AOKIから直接支払えばよいのであって、広告会社や元理事の会社を経由する必要はないでしょう。AOKI側が、2.3億円をどのような名目で支払っていたのかや、どのような承認がなされたのかなども気になります。
いずれにしても、電通など、ここに登場している会社は、マネーロンダリングをやっているようにも見えます(わいろを正当な経費の支払いや寄付のように仮装している)。
関連報道。
AOKIが元理事に何を頼んでいたのかについての報道が出てきています。
五輪事業の「キーマン」紹介や助言…AOKI専務が高橋氏側への要望をリストアップ(読売)
<独自>五輪スポンサー「安い料金なら」 AOKI側の意向、組織委元理事が仲介(産経)
五輪疑惑はフランス検察当局が以前から取り組んでいます。
逮捕間近! 五輪利権のキーパーソン「高橋治之」 それでも特捜部に上がる「国策捜査」の声(デイリー新潮)
「検察関係者の話だ。
「そもそも今回の容疑案件は特捜部が独自に掴んだネタとは言えない。東京五輪の招致活動をめぐって、フランス司法当局がIOC関係者に多額のカネが流れた贈賄疑惑を以前から捜査しており、その過程で高橋氏の名前も一時浮上していた」
この捜査は現在も継続中とされ、フランス当局から日本の検察庁にも協力要請があり、特捜部がフランス当局の求めに応じて関係者を嘱託尋問した経緯もあるという。
「東京五輪の本当の闇に斬り込んでいるのはフランス当局で、現在の特捜部はそこから派生したニッチな捜査を行っているように映る。それでも自分たちで五輪疑惑を立件できれば、フランスの“下請け”に甘んじただけとの顛末は避けられ、特捜部の“面目も保たれる”との声がある」(同)」