特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)
バルカー(東証プライム)のプレスリリース(2024年11月14日)。
幹部社員らによる不正行為を調べていた特別調査委員会の調査報告書を受領したとのことです。報告書(50ページほどのもの)も添付されています。
「当社は、2024年9月25日付「当社執行役員および従業員による不正行為の発覚ならびに特別調査委員会の設置に関するお知らせ」に記載のとおり、外部からの通報により、当社執行役員および従業員(以下、「幹部社員ら」という)が特定の取引先と示し合わせるなどして取引先に対し代金の水増し発注を行い、捻出した資金の一部を幹部社員らが着服していたこと(以下、「本件不正行為」という)が判明し、本件不正行為に関する事実関係、本件不正行為に類似する事象の有無等を明らかにするために徹底した調査を行うため、独立社外役員を中心に構成される特別調査委員会を設置して事実関係の調査を進めてまいりました。」
調査結果は...
「特別調査委員会による調査の結果、本件不正行為による当社グループへの水増し請求合計額は 257百万円となります。過年度の連結財務諸表に与える影響は限定的であることを踏まえ、過年度決算の訂正は行わず、2025 年3月期の中間連結財務諸表の営業利益に 71 百万円増加として反映しております。」
ということで過年度訂正は免れたようです。とはいえ、従業員はともかく、執行役員まで関与していたというのは重大問題でしょう。
内部統制報告書(2024年3月期)は訂正したそうです。業務処理統制ではなく、全社的な内部統制の不備という評価のようです。
財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)
「当社は、調査報告書で判明した事実や指摘、高機能シール本部において地政学リスクに基づく材料不足と価格の乱高下という特殊な外部環境を背景として生じたものであることを踏まえ、当社の全社的な内部統制の再評価を行い、以下の内部統制の不備を認識しております。
(全社的な内部統制について)
① 地政学リスクに基づく材料不足と価格の乱高下という特殊な外部環境が生じた中で、高機能シール本部社内外で権威主義的リーダーとして認識されていた上級管理職によるマネジメントオーバーライドと取引業者との共謀の発生により内部統制(予防的統制)が無効化されたが、当該事態を想定したリスク評価が十分でなかったこと。
② 絶対的な存在感を持つ上級管理職自身に、コンプライアンス意識が欠如していたこと。
③ キックバックにより関係強化が図られるという誤った意識が取引業者に植え付けられるなど取引業者との間で不適切な関係が構築されていた。こうした状況が看過されるなど、取引業者のモニタリングが不十分であったこと。
当社は、これらの不備は財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高く、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。」