米国のSECが3月に気候変動開示に関する意見募集を始めたが、業界団体などからいろいろな意見が出て、しかも政治も絡んできてもめているという記事。
「米国で上場企業に気候変動リスクを開示させるルール作りが遅れている。バイデン米政権は年内の公表を目指すが、年明けにずれ込む可能性が出てきた。米産業界との調整に手間取るほか、野党・共和党が反対する。米国の政治対立がESG(環境・社会・企業統治)投資に影を落としている。」
大統領選挙の公約にもなっていたそうです。
「開示ルールの整備はバイデン氏の大統領選公約に含まれていた。①気候変動リスクが経営に与える影響②自社事業とサプライチェーン(供給網)における温暖化ガス排出量――の公表を企業に義務付けると明記した。」
SECは、2010年に上場会社向けの指針を出していますが(この点は日本よりはるかに先を行っている)、強制力はなく、投資家・環境団体から開示方法などに不満もあり、今年3月に見直しのための意見募集を開始しました。
「SECはバイデン政権発足後、2月に気候変動とESG分野を担当する政策助言者を採用し、3月には情報開示のあり方について意見募集を始めた。SECのゲンスラー委員長によると約550通の意見が集まり、4分の3は開示義務化を支持するものだった。」
しかし、実際の規則制定には予定より時間がかかっているそうです。
「ルール策定には時間がかかっている。SECが6月に公表したアジェンダ(政策課題)一覧によると、新ルール案の公表時期は10月とされていた。ゲンスラー氏も当初、年末までに公表すると話していたが、10月の米議会公聴会では「年末か来年初め」と発言した。」
記事では、業界団体や野党である共和党の動きなどについても書いています。
日経記事では米国の「遅れ」を書いていますが、日本はどうかというと、コーポレートガバナンス・コード改訂で、上場会社の一部に気候変動開示を要請(法律上の強制ではない)し、とりあえずそれでやりすごそうとしていたようですが、結局、それでは不十分ということになって、現在、金融庁の金融審議会のワーキンググループで、有報にサステナビリティ開示の欄を設けるかどうかという議論をしているという段階です。(まだ道は遠い?)
SEC Response to Climate and ESG Risks and Opportunities(SEC)(このページからコメント募集の質問事項や寄せられたコメントを見ることができます。)
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