会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査法人に交代制 EU検討、企業となれ合い防止(日経より)

監査法人に交代制 EU検討、企業となれ合い防止
大手寡占に歯止め、競争促す


EUが会計監査に関する規制を強化するという記事。EUが監査改革に関する報告書を公表したようです。

「欧州委が検討しているのは、一定期間後に担当監査法人を変更する「交代制」の義務づけ。日本では主任会計士が同じ企業を担当する期間を5年と定めている。これに対し欧州委は、企業の財務諸表の適正な評価には、監査法人の独立性を高め担当企業との間で緊張感を保つ必要があり、監査法人そのものを変更すべきだと判断した。

 特に大企業や巨大な金融機関については、例外的に監査法人を監督する金融当局が担当法人を指名する案も選択肢として示した。このほか▽監査法人が監査先の企業を対象に、コンサルティングなど監査以外のサービスの提供を禁止監査報酬の上限設定――なども検討課題に挙げた。」

「監査法人や会計士がある加盟国で登録すれば、所在地や出身国にかかわらず域内で自由に業務ができる監査業務の「パスポート」を導入するほか、大手と中小が共同で監査に当たる「共同監査」案も浮上している。」

E.U. Concerned by Big Four's Dominance in Auditing

4大事務所による監査業務の寡占が大きな問題とされています。(寡占が問題となる背景には、アンダーセンの崩壊のような事態が今度起きたらどうなるのかという危機意識があります。)

The dominance of the four big global accounting firms faced a challenge Wednesday from the European Union, which said it would examine whether laws were needed to reduce their control of the market.

ベルニエという責任者は、「現在の体制の維持という選択肢はない(“the status quo is not an option.”)」とまで言っています。

EC proposes mandatory rotation of auditors(Accountancy Age)

こちらの記事によると、「監査報酬の上限設定」というより、「アドバイザリー業務の報酬の制限(caps on advisory fees)」のようですが、どちらが正しいのでしょうか(寡占体制の打破が目的だとすれば、どちらもありうる?)。

Joint audits will increase fraud: Big Four partner(Accountancy Age)

共同監査には反対意見も強いようです。

たしか、監査人の交代性はイタリアで、共同監査の強制はフランスでやっています。監査人の感覚では、うまくいかないだろう(監査人と企業の両方に大きな負担となる)と思われるのですが、EUの役人は違う考えのようです。

日本の金融庁も海外の動向を気にしているので、米国まで追随するようだと、日本の制度も相当変わることになるでしょう。

(補足)
欧州委員会のプレスリリースが見つかりました。

The European Commission consults on how the European audit market can be improved

報告書はこちら

http://ec.europa.eu/internal_market/consultations/docs/2010/audit/green_paper_audit_en.pdf

非監査業務の制限については、業務提供の禁止の強化を検討したいと言っています。全面的禁止なのか、あるいは禁止業務の拡大なのかはわかりませんが、いずれにしても規制強化です。純粋な監査事務所("pure audit firms")を目指すことになるかもしれません。

The Commission would like to examine reinforcing the prohibition of non-audit services by audit firms. This could potentially result in the creation of "pure audit firms" akin to inspection units. Since auditors provide an independent opinion on the financial health of companies, ideally they should not have any business interest in the company being audited.

日本の監査法人も、監査部門の会計士のリストラを進めながら、アドバイザリー部門は(人は入れ替えながら)採用を増やしているようですが、大丈夫なのでしょうか。

日経の記事の中ではふれていませんが、中小企業の監査についての項目もあります。法定監査の免除や、簡易監査(レビュー)の導入を対応策として挙げています。

Serious efforts should be made to create a specific environment for the audit of SMEs. These could imply:

– Discouraging the statutory audit of SMEs.

– Alternatively, where Member States want to maintain some form of assurance, introducing a new type of statutory service adapted to the needs of SMEs such as a "limited audit" or a "statutory review" where auditors would perform limited procedures so as to detect misstatements due to error or fraud. The approach of mandating a limited review for small companies has been followed by Estonia, and is being considered by Denmark.Switzerland also follows such an approach; limited reviews are generally accepted in the USA.

– In the instance of the prohibition of non audit services as discussed in Section 3 above,consideration could be given to providing for a safe harbour which, subject to appropriate safeguards being in place, would allow the auditor of an SME to continue providing certain non audit services to that company – e.g. assistance in their access to credit, in tax returns,payrolls, or even accounting.
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