「ホテルマネージメントインターナショナル」(HMI)というホテル運営会社が国税局から約20億円の申告漏れを指摘されていたという記事。吸収合併した子会社(「知立観光」)の欠損金が問題とされたそうです。
「関係者によると、HMIは2017年10月、ホテル運営会社「知立観光」(愛知、解散)を子会社化。翌11月21日、知立観光が出資して新たに合同会社を設立し、知立観光が全国約10か所で運営していた旧年金福祉施設などのホテル事業を合同会社に承継した。
会社間で事業や不動産を承継する場合、帳簿上の価格(簿価)と時価に差があれば、譲渡益や欠損金が発生する。知立観光が運営していた施設は建設から年数がたち、時価が簿価を下回っていたことから、知立観光に約35億円の欠損金が生じた。」
知立観光を吸収合併したHMIは、2019年6月期に、この欠損金のうち約20億円を自社の黒字と相殺したのだそうです。
「20年に開始された東京国税局の調査では、吸収合併の前日、知立観光が合同会社の経営権(持ち分)を別の関連会社に譲渡していたことが判明した。」
「同国税局の調査では、再編後、接客や仕入れなどの施設の運営は、合同会社やその経営権を持つ関連会社ではなく、HMIが実質的に行っていたことが確認されたという。」
事業や不動産に対する「支配」が続いているから、欠損金は認められないとされたようです。
HMI20億円申告漏れ 組織再編で租税回避か(産経)
「企業再編を後押しする「組織再編税制」では、引き継いだ事業や不動産に対する「支配」が継続していると、欠損金は発生しないとされる。子会社はHMIに吸収合併される直前、新設した合同会社にホテル事業を引き継いだ上で、この合同会社の経営権を別の関連会社に譲渡していた。
だが、東京国税局の調査で、ホテル事業の運営をHMIが実質的に行っていたことが判明。同局は、一連の組織再編が、税負担の軽減が目的だったと判断したとみられる。」
グループ内の再編であれば、そこで生じた損益は課税の繰延を行い、再編を阻害しない制度としているのに、それを悪用して、損失が出る取引が外部との間であったように偽装するなどけしからんということなのでしょうか。
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