会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

スルガ銀行の不正融資問題が再燃か 開示された「偽造資料」の束(AERAより)

スルガ銀行の不正融資問題が再燃か 開示された「偽造資料」の束

スルガ銀行の不正融資問題を取り上げた記事。

「2018年2月、スルガ銀行による不動産投資向け融資の不正疑惑が朝日新聞の報道で浮上した。新築シェアハウス向け融資を不正に引き出すため、顧客の預金通帳や源泉徴収票、給与明細といった資料の偽造が続々と判明。同年春には中古1棟マンション向け融資でも同様の不正が横行する疑いが浮かび上がった。金融庁が立ち入り検査に入り、同年秋には6カ月間の業務停止を命じている。」

シェアハウス関連の融資については債務者との話し合いが進んでいるそうです。

「問題発覚後、被害弁護団が一貫して要求してきたのは、物件を引き渡し、残る借金をゼロにする「一律解決」だった。対するスルガ銀行は、多くの銀行員の不正関与がバレたあとも、しばらくは「個別解決」にしか応じない姿勢だった。だが、被害を訴える顧客の数があまりに多いこともあり、昨年半ばには、シェアハウス物件に限って一律での残債全額カットに応じる方針に転換した。今春に約250人、来年には累計で600人超が「借金帳消し」となる見込みだ。」

しかし、それ以外の不正があった融資については、スルガ銀行は消極的な対応なのだそうです。

「昨年5月公表の調査結果では、改ざん・偽造などの不正が確認された不動産投資向け融資7813件のうち、シェアハウスは886件のみ。残る6927件はシェアハウス以外で、融資額はシェアハウスの約4倍の4427億円にも上ることが判明した。

筆者の取材で判明した分だけを見ても、シェアハウスと同等かそれ以上に悪質な事例が目立つ。

業者らによると、ウソの家賃や空室率に合わせて、賃貸契約書を偽造するのは日常茶飯事で、銀行員が把握している例もあった。物件を見に来る人の目を欺くため、空室にカーテンをつける偽装もしていた。投資家に本当の空室率や家賃収入を知らせないまま、中古物件を買わせるケースも珍しくない。こうしたケースは拙著「やってはいけない不動産投資」(朝日新書)でも詳報している。

借金の元本カットは、スルガ銀行が金融庁から求められた顧客対応の一つでもある。ただ、元本カットに応じるか、応じるとしてどれだけカットするかは、行員らの不正関与の度合いなどによって変わるため、個別に事例を見極めるというのがスルガ銀行の基本姿勢だ。

だが、被害弁護団によると、担当行員が資料改ざんについて把握していたのかどうかを尋ねても、スルガ銀行は顧客本人にも教えていないという。肝心のポイントが明らかにならず、交渉が難航している模様だ。

スルガ銀行にとっては、中古1棟マンション向けの融資はシェアハウスよりもはるかに規模が大きい。そこで元本カットをなし崩し的に認めていくと、業績への影響も膨らみかねない。一連の不祥事を受けた同行の顧客対応は、ここが最後のヤマ場となりそうだ。」

業者の不正を見逃してきた銀行の責任は当然ありますが、債務者の方も、マンション1棟まるごと買おうとするのであれば、自分でもきちんと調べるべきだったと思いますが...。

会計的には、スルガ銀行の決算で、シェアハウス関連以外の融資についても、十分な引き当てがなされているのかが気になるところです。銀行にとっては債務者との交渉を遅らせるほど、引き当ても先送りできるのかもしれませんが、監査人はそれを許すべきではないでしょう。
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