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過年度の有価証券報告書等及び決算短信等の訂正に関するお知らせ(ルーデン・ホールディングス))

過年度の有価証券報告書等及び決算短信等の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

ルーデン・ホールディングス(東証グロース)のプレスリリース(1月17日)。

同社は、Ruden Singapore Pte.Ltd.という非連結子会社でやっていた仮想通貨がらみの事業の実態が把握できない状況になっていることを、昨年3月に開示し、その後、外部調査委員会を設置して調査していました。

「当社は、2022 年 11 月 30 日公表いたしました「外部調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、外部調査委員会より調査結果の報告を受けましたが、当該報告を受けて、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局に提出するとともに、過年度の決算短信等の訂正を行いましたので、下記のとおりお知らせいたします。」

訂正理由は...

「1.訂正の理由及び経緯

当社は、2022 年 2 月 10 日付「特別損失(非連結子会社への貸付債権にかかる貸倒引当金繰入額)の計上のお知らせ」及び 2022 年 5 月 2 日付「外部調査委員会設置に関するお知らせ」で開示しているとおり、2018 年 12 月のルーデンコイン(以下「RDC」という。)の販売により調達したと認識していた 1700 ビットコイン(以下「BTC」という。)が手元に確認できず、また、同 BTC の調達方法は、投資家からの借入(消費貸借)だった可能性があり,かつ同 BTC は、既に投資家へ返却済である可能性があることが判明したため、当社から独立した立場から、客観的かつ専門的に事実を調査・究明することを目的として、外部の専門家から構成される外部調査委員会を設置し、調査を実施いたしました。

2022 年 11 月 30 日付で受領した同委員会による調査結果報告等を受け、当社は、2019 年 12 月期以降のルーデンコインに関する文言の削除等、下記2のとおり過年度の決算を訂正し、下記3.及び4.に記載の有価証券報告書等及び決算短信等の訂正を行い、本日、訂正有価証券報告書及び訂正四半期報告書を関東財務局に提出いたしました。なお、2019 年 5 月 23 日付けで提出した有価証券届出書は、第 19 期第1四半期報告書を組込情報として組み込んでいるため、同届出書を訂正し関東財務局に提出致しました。」

上記、特別損失に関するプレスリリースによると「2021 年 12 月期決算において、(Ruden Singapore に対する)当該貸付債権に対する貸倒引当金繰入額 128,803,461 円を特別損失に計上」とのことです。

訂正内容は...

「2.訂正の概要

当社は、決算訂正の内容は、1,700BTC については RDC 販売対価と認定するのは困難であり、ウォレットについては RDC の販売対価として 1,700BTC の流入があったかのように見せかけるための手段として用いられた口座である可能性が高いと判断した外部調査委員会の意見に同意し RS が BTC を調達していなかったと判断しております。また現金入金された 400,000USD についても新規仮想通貨公開(ICO)で調達したものと認定するのは困難であると判断されることから、400,000USD及び 1700BTCがICOで調達されたことを前提に行われた開示はすべて訂正することとしました。」

訂正された報告書を全部見たわけではありませんが、財務諸表の本表(BS、PLなど)の訂正はないようです。おそらく、非連結子会社における取引の問題であり、連結財務諸表には影響しない、当該非連結子会社に対する債権については、貸倒引当金を計上済みであり、正しく処理しているという考え方なのでしょう。

例えば、2020年12月期の訂正報告書は以下のようになっています(EDINETより)。

非連結子会社であったために、会社も監査人も命拾いしたともいえますが、逆に、重要な新規事業であれば、規模的には重要性がなくても、最初から連結範囲に含めるべきだったのではないでしょうか。連結に含めていれば、会社も監査人も、本気で実態を把握しようとしていたはずです。

また、経営者による意図的なものかどうかは別として、結果的に、将来有望な事業に着手したかのような虚偽の開示を行っていたわけであり、責任は重大でしょう。

なお、プレスリリースの冒頭部分に気になることが書いてあります。

「外部調査委員会から、「RS閉鎖に起因する訂正」の指摘がありましたが、RudenSingapore Pte.Ltd.(以下「RS」という。)は 2021 年 1 月にシンガポールの登記簿上(BIZ FILE)抹消(Struck Off)されております。しかしながらこの抹消手続は当社の承認なしに実施されており手続きに瑕疵があるため抹消は無効であり、RS に対する債権は現存しており、現状の会計処理は適正であると当社は判断しております。」

会社が登記簿から抹消されてしまったということで、会社の存在すら確認できない状況のようです。登記簿上存在しない会社に対する債権というのはどういうものなのでしょう。

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