消費税では「益税」が議論されることがありますが、「損税」問題というのもあるそうです。
「消費税増税が目前に迫る中、医業の間で消費税の損税問題に関心が寄せられている。
医療機関においては消費税の仕入税額控除がうまく機能しない。収入のほとんどは社会保険診療報酬だが、消費税法上、社会保険診療にかかる医療は非課税扱い。一方で、医療機関が仕入れる高額な医療機器や医薬品、各種消耗品など「仕入れ」のほとんどは課税取引であり、医療機関はかなりの消費税を負担している。
しかし現行の消費税法では「非課税取引からの仕入税額控除」は認められていないため、仕入れにかかった消費税を控除できないのだ。結果、仕入れにかかった消費税は医療機関が丸ごと負担する形になっており、この税コストが「損税」となって利益を圧迫している。」
これは、軽減税率が導入された場合にも同じように問題となるはずです。
例えば、消費税率10%、食料品の軽減税率5%とした場合、食料品の売上には5%の消費税しかかからないとしても、食料品を生産し販売するまでにかかる、販売店舗の家賃、品物の輸送費・保管費、備品・機械の購入費、農機具代などには10%の消費税がかかります。この仕入れ側の10%の消費税を全額仕入税額控除できればよいのですが、非課税の場合の扱いとの均衡上、おそらく半分しか控除できない制度にすると思われます。そうすると、その分を価格に転嫁できなければ「損税」ということになります。
これを解決するためには、売上側の税率が何%であっても(非課税の場合も)、仕入れ側の消費税は全額控除する制度にするのがもっともすっきりします(ゼロ税率)。しかし、報道等をみる限りでは、大きな論点にはなっていないようです。
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