オリンパス事件について、約10年前の損失先送り処理から、損失穴埋めのためのM&A取引までの流れをまとめた記事。だいぶスキームがわかってきたようですが、「経営トップの認識や金融ブローカーへの資金の流れなど、未解明な部分は多い」のだそうです。
まず、損失先送りスキームについて。
「同社は少なくとも平成12年以降、財テク失敗で抱えていた1千億円超の含み損をファンドに移す飛ばしを開始した。対応策は当時、総務・財務部長だった山田前監査役と、森前副社長が協議。資産運用などで接点のあった大手証券会社元支店長らOB2人に相談し、決定された。飛ばしの考案は主にこの4人で行ったとみられる。
海外銀行に保有する預金を担保に銀行からファンドへ融資。ファンドがこの融資金で、オリンパスが抱える有価証券などを取得時の簿価で買い取るという手法だった。」
「飛ばし先のファンドは英領ケイマン諸島など3、4つ。銀行からの融資に別のファンドを介在させるケースもあり、隠れみのに使われたファンドは10以上に上る。これらのファンドは森前副社長と証券OB2人が管理し、山田前監査役が全体像を把握していた。一方、飛ばしを始めた数年後から森前副社長が山田前監査役にかわって中心的役割を担うようになったという。」
損失穴埋め取引を行った背景について。
「同社はその後、飛ばし先のファンドで、買い取った資産を運用するなどして損失解消を狙ったが失敗。常務となった山田前監査役の取締役退任も迫ったことで、森、山田両氏は「飛ばしを引き継ぐ適任者がおらず、引き継げば外部に漏れる可能性がある」と考えるようになったという。
そこで18~20年に行われたのが、健康食品会社「ヒューマラボ」など国内3社と、英医療器具会社「ジャイラス」の買収だ。買収資金と報酬名目で、ファンドに飛ばした損失の穴を埋めるのが目的だった。」
「一部ファンドの立ち上げには金融ブローカーが関わっており、ジャイラスを含めた4社の買収関連資金は、損失穴埋めとともに証券OBやブローカーに渡っていた疑いがある。」
後継者がいれば、穴埋めのための不自然なM&Aは実施されず、したがってFACTAやウッドフォード氏にも気付かれず、損失はまだ隠されたままだったということでしょうか。恐ろしい話です。
新しい情報はなさそうですが、CNNまで詳しく報じているということで。
↓
Olympus drama: A boardroom novel(CNN)
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