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泌尿器科が好きなタダのおっさん

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HIVとMSMとHPVとワクチンと

2014年06月03日 23時35分57秒 | どうでもいいこと

ひつじです。今回は少し小生の研究について真面目なお話しをしようと思います。
先日、神戸で開催された日本泌尿器科学会総会の会期中、有り難いことに小生の発表についてMedical Tribune社の方から取材を受けました。
そして、お話しした内容を記事にして頂きました。
以下にリンク先のURLを記載いたします。

MTPro記事←ここをクリック


また、男性におけるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が癌の発生に重要という事実は、2013年7月の『つぶやき』氏の記事で触れられております。

『つぶやき』氏記事←ここをクリック


いまから本研究の要点をお話しします。

表題にあるMSM(=男性とセックスする男性; Men who have sex with men)においても肛門癌の発生とHPV肛門感染は、特にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性者において最近注目されています。

私たちのデータによれば、日本人HIV陽性MSMの肛門のHPV検出率は非常に高く、約9割に及ぶ結果でした。
また、癌の発生に関係すると言われる高リスクHPV検出率も6割を超えるという結果でした。
日本でのこれらのデータはこれまでになく、大変インパクトのある結果な訳です。

また、HPVの種類は多岐にわたりますが、私たちのデータによると、検出されたHPV型は、子宮頚癌の原因として有名な16型や18型のみならず、52型、58型といったものが多いという中間結果でした。
ちなみに、現在我が国で若年女性に対して公費助成の接種として認可されているHPVワクチンは2種類あり、それぞれ2価、4価ですが、2価では16、18型のみ、4価であっても6、11、16、18型のみであり、これでは先の52、58型はカバーしきれません。
ところが、最近米国でHPV9価ワクチンが認可され、これには52、58型が含まれております。
日本人の子宮頚癌の原因でも、52、58型はそれなりに検出率が高く、私たちのデータも併せて、本邦での早急な認可が望まれます。

世界的には70ヶ国以上で男性へのHPVワクチン接種が行われておりますが、日本では承認にすら至っておりません。
本研究結果により、少しでも男性へのHPVワクチン接種認可に貢献できればと思っています。


ところで、我が研究チームの先輩である『つぶやき』氏の留学に伴い、新年度より感染症について学生講義をさせて頂くようになりました。
講義内容の後半3分の1は、HPVについてです。

講義の後、学生から興味のある質問がありました。
『性経験のある状態では、HPVワクチン接種は意味がないの?と聞かれ、答えられなかったが、実際どうなんですか?』というものです。
答えとしては、『一部には効果がありますが、実際に前癌状態や発癌期にまで達した場合には効果は認めないであろう』となるかと思います。
別の学生は『男性にもHPV感染のリスクがあることを講義を聞いて初めて知った』と率直な感想を述べてくれました。
ウイルス感染症を撲滅するためには、啓蒙活動がやはり大事だと思います。
金沢大学の学生に関しては、小生の講義を通じて、少しでも正しい知識が浸透してくれれば、と思う今日この頃です。

文字だらけで、かなり真面目な内容に傾倒してしまったので、次回はフランクな記事を載せたいと思います。
それでは本日はこの辺で。

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