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[経済短評]It should not be Greek to us.

2010-01-27 01:45:16 | マネー&ポリティックス
S&P:日本の長期ソブリン格付け見通し「ネガティブ」に(ブルームバーグ)
日本国債格付け:識者はこうみる(トムソンロイター)
日本国債格付見通し変更を冷静に受けとめ=主要閣僚(トムソンロイター)
ギリシャの新発5年債におう盛な需要、市場の懸念和らぐ(トムソンロイター) - goo ニュース


Standard and Poorsという会社は、GEやIBM、トヨタのように全世界に何万人もの社員を抱えるという、
大きな会社ではありませんが、その会社の発表の影響力はあまりにも大きすぎる投資情報会社です。
それは、日銀が日本の金融政策の行先を金融政策決定会合で決め、それを受けて日銀総裁が会見を
行ったとしても、その中身が吹っ飛ぶほどの力をもっています。

日銀総裁の記者会見から1時間も経たないうちに、S&Pは日本の外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン
格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更しました。つまり日本の国債の格付が引き下げられ、
それは、日本が一歩だけデフォルトの方向へ近づいたことを意味します。

もちろん、これにより明日にも日本中が取り付け騒ぎになることはありませんし、現状の格付けは現状どおり
据え置かれています。その理由としてS&Pは、日本には「高水準の対外純資産残高や準備通貨としての
円の地位、世界的な金融危機に対する耐性を示した金融セクター、多様化された経済」があるからだとしています。
ただし、このままの財政状況で行くならば、日本の格付けは将来的に引き下げられるということのだけです。

確かに、格付け会社のひとつが日本の格付けを引き下げたからといって、それに慌てふためいているようでは、
日本そのものの信頼に関わってしまいますので、まずは冷静な対応が必要です。しかしS&Pが言うように、
日本がこのままでは財政圧力、デフレ圧力に屈する可能性があり、実際にそれへの対応が全く示されないまま
今日に至っています。それはもはや事業仕分けなどという小手先の節約術や、エコカー減税やエコポイントなどと
いうほどの小さい景気刺激策では、手遅れなんてものではないということを意味します。

日本は今すぐ慌てる必要はありませんが、長期的には今から少しずつ慌てる必要があります。それは今の
日本の仕組みを大きく変えざるを得なくなることも含まれるでしょうが、いずれにしても、どのように財政再建を
図るのか、そしてどのような成長戦略を展開するのか、日本がその道筋を示していくことが必要なことです。
首相の発言のように、アメリカのせいで円高になっただのと、他人に責任をなすりつける時間はもうありません。
そんなことをしていると、今のギリシャのような状態に陥る可能性も出てきます。

今の日本は検察と戦う前に、デフレと財政悪化に戦いを挑む必要があります。


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