そのさきへ -Deep Sky Blue version-

このブログは引っ越しています

[MLB短評]Seasons G-Lee-ting

2009-10-19 23:18:55 | MLB
黒田、6失点で降板…ナ・リーグ優勝決定S(読売新聞) - goo ニュース
Philly bats soar; Cliff too tall for LA(MLB.com)
Postseason going brilliant-Lee for pitcher(MLB.com)
Cliff Lee dominant as Phillies rout Dodgers in Game 3 of NLCS(SI.com)


米大リーグのリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)は18日、ナ・リーグ第3戦が行われ、
フィリーズ(東地区1位)がドジャース(西地区1位)に11―0で完勝し、2勝1敗とした。

ドジャースは黒田が先発したが、一回にワースの2ランを含む4連打で4点、二回にも2点を失い、
メジャー最短の1回1/3、6安打6失点で降板。昨季も含むポストシーズン通算で初黒星(2勝)を喫した。

黒田はレギュラーシーズン終盤に首痛を訴え、地区シリーズは出場登録を外れていた。


仮に白星でも黒田、黒星でも黒田としか書けない日本のメディアには、クリフ・リーの「ク」の字の存在を
忘れているらしいです。

それはともかく、フィラデルフィアの市民は短期間の間に信じられない負け方を目の当たりにしました。
金曜日にはチェイス・アトリーのミススローによりフィリーズはドジャーズに逆転負けを喫しました。
日曜日の昼には、西海岸へ向かったイーグルスが、絶対に勝てるはずのレイダースから9点しか
奪うことができず、まさかのアップセットを喫しました。

しかし、東海岸に帰ってきたフィリーズは負の連鎖から逃れることができました。それもこれも、
すべてはALCS第3戦の先発、クリフ・リー様のおかげです。今年の夏、フィリーズのフロント陣が
ロイ・ハラデイではなくリーを獲得したのは、プレイオフ進出のためではなく、ワールドシリーズに
進出するためでした。リーは寒い日曜日の夜、その期待に見事に応え、フィラデルフィアのファンを
熱くさせました。しかもリーは見事なまでの投球術により、ドジャーズ打線を8回散発3安打、無四球、
10三振に抑え込みました。

特に圧巻だったのは、7回表、ヒットでランナー1人を背負いながらも、マニー・ラミレスとマット・ケンプを
三振に倒したところでしょう。それはあまりにも圧巻すぎて、ベンチで見ていた同じ左腕で、昨シーズン、
今年のリーのような活躍をしたコール・ハメルズ曰く、

We just sit there and laugh because he makes hitters look ridiculous.

そう、リーの素晴らしさに笑うほかなかったのです(実際ベンチにいた選手たちはもちろん笑っていないけど)。
同時に、第1戦で必ずしも期待に沿えるとはいえない投球内容だったハメルズにとって、今日のリーの投球は
刺激にもなったはずです。

一方、MLB.comにはリーの三振ショーのダイジェスト動画が掲載されています。リーガ奪った10三振のうち、
5三振で3アウトを奪っています。そのどの決め球も似たような弧を描くカーブ、そしてどの三振を奪った後、
リーは特に感情を思いっきり表に出すわけではなく、さも三振を奪うのが当たり前かのように感じさせつつ、
ひょうひょうと1塁のベンチへ下がっていきました。

その姿は、同じ左腕でもグイグイと打者を速球で追い込み、三振を奪った後に思いっきりガッツポーズを
決めるC.C・サバシアとは対照的にも感じられました。それは、リーの投球術が速球ではなく変化球の
組み立てを主体としている点でも、非常に対照的です。

ちなみに、サバシアとリーはかつてインディアンズで先発の中心にいましたが、今ではそれぞれ東海岸の
強豪チームでワールドシリーズ進出に向けて絶対に欠けることができない存在となっています。もし仮に
ヤンキーズとフィリーズがワールドシリーズに進出して、ローテーションの調整ができれば、この左腕2人の
対決が見られるはずでしょう。

そんな先のことはともかく、もしかしたら今日の投球はリーにとってあまりにも当然の仕事だったのでしょう。
試合後のリーはこのように語っています。

I don't think I ever doubted myself...I always had confidence in myself and felt like
I could pitch in a big game. But you never know until you get the opportunity.


素晴らしい結果を残したからこそ許される素晴らしいコメントです。必ずしも表に出すわけではないけど、
内に秘めたこの自信こそがリーの原動力なのでしょう。正に今日のリー、というよりこのプレイオフでの
リーの活躍は、ジョー・トーリの言葉を借りるならば、"He's pretty damned special"です。


最新の画像もっと見る