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[NBA短評]憧れない 誰のSTAR?

2010-01-26 00:46:12 | NBA
Boston Celtics' Ray Allen favors All-Star voting change(SI.com)
Allen Iverson makes no apologies for All-Star Game start(ESPN)


「ベーブ・ルースとカール・ハッベルの対決が見たい」と、ある子どもがシカゴ・トリビューンに投稿した、という今では
嘘っぱちであることも明らかになっているこの伝説から、オールスターゲームの歴史は始まっています。この投稿以降、
オールスターゲームはファンによる夢のイベントであり続けている、はずです。

しかし、世界一の巨大ビジョンがあるダラスのカウボーイズ・スタジアムで行われる今年のNBAオールスターゲームは、
始まる前から小さいながらも大きな問題が山積しています。

ひとつは今では夢のないイベントになってしまった、スラムダンク・コンテスト。昨年はドワイト・ハワードのおかげで
相当の盛り上がりを見せ、コートサイドでくつろぎながら観覧していたレブロン・ジェームスは「来年はオレも出る!」と
「出馬宣言」をしましたが、ここにきて、出馬を撤回。今のところレブロンはコンテストに出る予定はありませんが、
これを見たチームメイトのシャキール・オニールは、「レブロンや、コービー、ビンス・カーターが出てコンテストを
盛り上げるべき。そしてハイチ大地震の救済をコンテストを通じて行うべき」と持論を展開しました。それについて
聞かれたコービー・ブライアントは、その意見を尊重をしながらも、一方で鼻で笑っていました。

もうひとつは夢のチームを作るにあたって発生した現実離れとも受け取れるできごと。半分引退しかけていた
アレン・アイバーソンがファン投票でイーストの先発メンバーに選ばれました。確かにアイバーソンは人気のある
選手なのかもしれませんが、今シーズンのアイバーソンは、メンフィス・グリズリーズにほんのわずかの期間だけ
籍を置いた後、チームから解雇同然にされ、何とか古巣フィラデルフィア・76ersに拾われました。あの当時の
わがままな性格からは成長しましたが、それと反比例するように、かつての76ers時代のような成績を残すことが
できなくなったのは見て明らかです。

一方で、メジャーリーグのオールスターのファン投票でも当てはまることですが、この手の投票は人気投票になる
傾向があるだけでなく、「去年(あるいはこれまで)活躍した選手」に投票してしまう傾向があるのも事実です。
それが顕著に出てしまったのが、アイバーソンであったり、ウェストでは今シーズン6試合しか出ていない、
トレイシー・マグレディが先発しそうな票数を得ていたことでしょう(マグレディはスティーブ・ナッシュに負けて
先発メンバーには選ばれず)。

この投票行動を見て、セルティックスのレイ・アレンが「ファン投票の割合を5割ほどに減らして欲しい」というコメントを
しました。その分、選手選出の比率を上げて欲しい、なぜなら選手の方がお互いの実力をわかっているからだ、というのが
アレンの持論です。ファンも悪ふざけでアイバーソンへ票をいれまくったわけではないだろうから(日本のプロ野球の
オールスターでは、半ば悪ふざけで1試合も投げていない選手が選ばれたことがありましたが)、アレンもファン投票自体を
非難するまでではなくとも、今回のような「不可解」な投票行動が出ると、選手として一言申したくなるのも納得できます。

恐らく、アレンがオールスターで先発させたいのは、クリス・ボッシュかもしれません。しかし、先発どころか控えにも
なれないかもしれないボッシュは、

It's all about the fans. It's all about who they want to see because they generate the dollars,
they're going to watch the game, so they're going to vote for their favorite players and that's
probably how it should be.


と話しているように、アレンと比較したら大変心の広い意見を持っているようです。ファンは好きでその選手を選んでいるのだから
それでもいいじゃないか、という考えもやっぱり一理ありですし、ファンに対するこうした姿勢もスター選手として重要です。
いずれにしても、オールスターのファン投票は人気投票になる傾向は強いし、誰もが玄人目線で選手やリーグを見るわけではないので、
今回のような結果になったとしても、恨みっこなしとすべきです。自分はファン投票していないのであれこれ言える立場では
ないかもしれませが、これが大多数のファンの総意において、2010年夢のチームなのでしょう。仮に投票制度が問題ありだとしても、
今年はこれを受け入れるしかありません。

なお、アイバーソンは今回選ばれてしまったことに対して、特に申し訳ないと感じていることはないと言います。自ら不正をやって
選ばれたわけではないから、それはそれで問題ありません。逆に選んでもらった以上、MVP級の活躍をするしかないでしょう。
それがアレンやアイバーソンが選出されたことに疑問を持っている大多数の人への答えになるはずです。

でも、オールスターゲームでひとつ言えることは、オールスターの先発選手を選ぶ時がいちばんおもしろいのであって、
実際の試合になると、印象に残るほどには盛り上がるわけではない、ということです。


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