Lessons learned in losing for LeBron (ESPN)
人気ドラマ「CSI」シリーズのなかでも、マイアミを舞台にした「CSI マイアミ」は本家のラスベガス版や「CSI NY」と比べて、勧善懲悪的なストーリーと、銃撃戦や火薬をたくさん使った爆破シーン(いったいそれと科学捜査の関係はどこにあるのかわからないけど)などという派手さが売りになっています。ニューヨークのように室内犯罪やネット犯罪という陽の当たらないところでの犯罪に的を当てているわけでもなく、ラスベガスのように哲学的な要素もない、いつも太陽がさんさんと降り注ぐマイアミでの事件とその捜査は(雨の降らない確率は砂漠にあるラスベガス以上のように感じます)、その陽気と同じくらい派手さを感じさせますが、それこそがマイアミの持つ空気なのかなとも思ってしまいます。
その意味では、ここ11が月もの間のマイアミ・ヒートは正に派手さを全面に出していたチームだったと言えます。1時間の特別番組で、レブロン・ジェームスがヒート入りを発表し、その直後、同じく移籍してきたクリス・ボッシュと、もともとのヒートのスターであるドゥウェイン・ウェイドとともに、派手な仕掛けでファンの前に出て「5回、6回は優勝してみせる」と言い切った姿からして、マイアミのチーム特有のものをもっていました。それはシーズン開幕直後の、レブロンとエリック・スポルストラHCの肩がぶつかったことが「事件」になり、選手たちがロッカールームで泣いただけで「事件」になり、もちろん連勝をしたら「事件」となる、すべてがメディアの「捜査目的」にすらなりました。ヒートこそがCrime Sceneなのです。
そんなヒートを見ていて、他のマイアミから出た優勝チームを思い出しました。例えば1980年に大学フットボールを支配してきたマイアミ大学は、地元の貧困地域からフットボールに飢えた若者を多く勧誘し、ジミー・ジョンソンHCの下で「非常に個性的」な強豪チームが形成されました。一方で大学生とは言えないくらいの派手な言動が、特にマイアミ以外のスポーツファンから嫌われ、非難されるようにもなります。それでも、あの当時ハリケーンズにいろんな意味で勝つことができるチームはありませんでした。
もうひとつ思い出したのは、1997年のフロリダ・マーリンズです。新規参入による戦力不足ゆえ、他のチームとは同じ土俵で戦うことができなかったマーリンズは、この年に次々と大物選手を獲得し、その力でワールドシリーズまで進出、そして優勝を収めます。この点だけを見ると、今年のヒートにもどことなく通じるものを感じさせますが、優勝直後に資金繰りの悪化から、その選手たちを次々と手放していきます。この年のマーリンズは当時としては史上稀に見る「優勝を買ったチーム」として歴史に名を刻むことになりました。
1980年代のハリケーンズ、1997年のマーリンズ、そして今シーズンのヒート、どれも自らがはじめからそうなりたかったというわけではないのでしょうが、マイアミのスポーツチーム特有の派手さを持ち合わせているようにです。それでも、ハリケーンズとマーリンズはチャンピオンになり、どういう形であれ、スポーツ史に輝かしい名前を残しました。一方で今年のヒートはチャンピオンになれなかったどころか、派手な移籍劇の主演だったレブロンが、活躍の場をダーク・ノビツキーに譲り、わざと咳をする姿をテレビカメラの前で見せ、高熱ながらもプレイをしたノビツキーのことを茶化すことで、自ら進んで悪役になったほどです(念のため、2006年にヒートはマブスを破りNBAチャンピオンになっています)。恐らく今年のヒートは優勝を逃したチームとして、その「輝かしさ」はどの準優勝チームの追随を許さない存在でしょう。優勝したら嫌われていたのでしょうが、優勝を逃したことでさらに嘲笑の的にもなっています。そのことに対して敗戦直後で気が立っていたレブロンは
「そういうことを言う人達にも明日になればいつもどおりさまざまな試練と向き合わざるを得なくなる。それでも自分は自分の好きなようにやっていく」
と率直すぎる気持ちを述べ、さらにレブロンとヒートを嫌う人たちの火に油を注ぎました。あまりにも大きすぎる風呂敷を広げて嫌われ、それに伴う結果を出すことができなかったことでさらに嫌われる、でもそれが今の、そして今後数年間のヒートの宿命です。
人気ドラマ「CSI」シリーズのなかでも、マイアミを舞台にした「CSI マイアミ」は本家のラスベガス版や「CSI NY」と比べて、勧善懲悪的なストーリーと、銃撃戦や火薬をたくさん使った爆破シーン(いったいそれと科学捜査の関係はどこにあるのかわからないけど)などという派手さが売りになっています。ニューヨークのように室内犯罪やネット犯罪という陽の当たらないところでの犯罪に的を当てているわけでもなく、ラスベガスのように哲学的な要素もない、いつも太陽がさんさんと降り注ぐマイアミでの事件とその捜査は(雨の降らない確率は砂漠にあるラスベガス以上のように感じます)、その陽気と同じくらい派手さを感じさせますが、それこそがマイアミの持つ空気なのかなとも思ってしまいます。
その意味では、ここ11が月もの間のマイアミ・ヒートは正に派手さを全面に出していたチームだったと言えます。1時間の特別番組で、レブロン・ジェームスがヒート入りを発表し、その直後、同じく移籍してきたクリス・ボッシュと、もともとのヒートのスターであるドゥウェイン・ウェイドとともに、派手な仕掛けでファンの前に出て「5回、6回は優勝してみせる」と言い切った姿からして、マイアミのチーム特有のものをもっていました。それはシーズン開幕直後の、レブロンとエリック・スポルストラHCの肩がぶつかったことが「事件」になり、選手たちがロッカールームで泣いただけで「事件」になり、もちろん連勝をしたら「事件」となる、すべてがメディアの「捜査目的」にすらなりました。ヒートこそがCrime Sceneなのです。
そんなヒートを見ていて、他のマイアミから出た優勝チームを思い出しました。例えば1980年に大学フットボールを支配してきたマイアミ大学は、地元の貧困地域からフットボールに飢えた若者を多く勧誘し、ジミー・ジョンソンHCの下で「非常に個性的」な強豪チームが形成されました。一方で大学生とは言えないくらいの派手な言動が、特にマイアミ以外のスポーツファンから嫌われ、非難されるようにもなります。それでも、あの当時ハリケーンズにいろんな意味で勝つことができるチームはありませんでした。
もうひとつ思い出したのは、1997年のフロリダ・マーリンズです。新規参入による戦力不足ゆえ、他のチームとは同じ土俵で戦うことができなかったマーリンズは、この年に次々と大物選手を獲得し、その力でワールドシリーズまで進出、そして優勝を収めます。この点だけを見ると、今年のヒートにもどことなく通じるものを感じさせますが、優勝直後に資金繰りの悪化から、その選手たちを次々と手放していきます。この年のマーリンズは当時としては史上稀に見る「優勝を買ったチーム」として歴史に名を刻むことになりました。
1980年代のハリケーンズ、1997年のマーリンズ、そして今シーズンのヒート、どれも自らがはじめからそうなりたかったというわけではないのでしょうが、マイアミのスポーツチーム特有の派手さを持ち合わせているようにです。それでも、ハリケーンズとマーリンズはチャンピオンになり、どういう形であれ、スポーツ史に輝かしい名前を残しました。一方で今年のヒートはチャンピオンになれなかったどころか、派手な移籍劇の主演だったレブロンが、活躍の場をダーク・ノビツキーに譲り、わざと咳をする姿をテレビカメラの前で見せ、高熱ながらもプレイをしたノビツキーのことを茶化すことで、自ら進んで悪役になったほどです(念のため、2006年にヒートはマブスを破りNBAチャンピオンになっています)。恐らく今年のヒートは優勝を逃したチームとして、その「輝かしさ」はどの準優勝チームの追随を許さない存在でしょう。優勝したら嫌われていたのでしょうが、優勝を逃したことでさらに嘲笑の的にもなっています。そのことに対して敗戦直後で気が立っていたレブロンは
「そういうことを言う人達にも明日になればいつもどおりさまざまな試練と向き合わざるを得なくなる。それでも自分は自分の好きなようにやっていく」
と率直すぎる気持ちを述べ、さらにレブロンとヒートを嫌う人たちの火に油を注ぎました。あまりにも大きすぎる風呂敷を広げて嫌われ、それに伴う結果を出すことができなかったことでさらに嫌われる、でもそれが今の、そして今後数年間のヒートの宿命です。