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ウッズ6年ぶり3度目V、19Hの死闘制す…全米オープン(読売新聞) - goo ニュース
Woods said it may have been his 'greatest tournament,' and it's hard to disagree(Golf.com)
A Torrey Story: Woods' win was greatest U.S. Open ever(ESPN)
U.S. Open finale the stuff of legends(NBCSports.com)
ウッズは4月のマスターズ(2位)の直後に持病の左ひざの手術を行い、
ぶっつけ本番で今大会に出場した。痛みに顔をしかめながらのプレーだったが、
5日間、91ホールに及ぶ激闘を見事に制した。(読売新聞)
「激闘」を「見事に」制する・・・正直なところ、今大会のタイガー・ウッズに対して、これらの言葉ほど、
陳腐に聞こえてくるものもありません。それではどんな言葉が適当なのか?それは実のところ
思いつきません。「奇跡」の優勝?それもちょっと違うような気もします。
とにかく、ウッズはひざの痛みに耐え、全米オープンを優勝したことは紛れもない事実であります。
ウッズがグランドスラムで優勝することなんて、もはや何度もあることではありますが、今回は特に
別格の優勝であることは、本人ですらビックリしていると発言するところからしても明らかです。
ゴルフは他のスポーツ、特に団体スポーツと違い、自らのミスを自らの力で乗り越えなければ
なりません。ウッズにとっては、6月第2週の週末、それだけを乗り越えるのでは不足でした。
例えば日曜日の13番ホール、リー・ウエストウッドがラテラル・ウォーター・ハザードへ打ち込んだ後、
ウッズはそれにつられた形で、同じようにハザードへ打ち込みました。それはウッズが克服すべき
山のほんの一部。最大の山は、持病であり、手術明けでもあるひざの痛みをも乗り越えることでした。
いや、正確にはウッズが自らにそう課したとも言えるでしょう。
一方で、スポーツ界のスーパースターとは、最悪の状況に陥ったとしても、そこを切り抜ける
能力を持ち合わせている人だとも言えるでしょう。ウッズはその典型です。
ウッズは土曜日のラウンドでは、奇跡的なパット、奇跡的なチップインを披露してくれました。
しかし真骨頂はやはり、一つ前のグループで既に-1で上がっていた、ロッコ・メディエイトが
小さなテレビを遠目から見守る中、ウッズが18番ホールで7メートルのパットを決めた瞬間です。
恐らく、これまでのゴルフ生命で最も慎重に芝目を読んだウッズが、パターでボールを打つ。
その瞬間、沢山という言葉ですら足りなさそうなギャラリーが一斉に立ち上がり、ボールが
カップに吸い込まれました。いや、あのギャラリーとウッズの強い意志がボールに意思を
与えたようにすら思えてきます。
ウッズがPGAにデビューする前、アメリカでのゴルフ界は、何人ものスーパースターはいたけど、
一般的な考え同様、おじさんのスポーツだったことは否めません。ウッズはそれを全て変えました。
それも、日本の一過性ななんちゃら王子とは全く違い、自らが勝つことで証明してきました。
・ゴルフは白人だけのスポーツではないこと
・ゴルフは決して黙ってみるだけのスポーツではないこと
(ウッズ以前に、ギャラリーがあそこまで叫んで喜ぶ姿はなかったように思えます)
・ゴルフはオリンピックの競技に用いられていないけど賞金はバカ高い、
マイナーなメジャースポーツではなく、れっきとしたメジャースポーツであること
・ゴルフは野球やフットボールなどと同じように、見るだけでも十分に楽しめるスポーツであること
第108回全米オープンは、これら全てを見事なまでに証明し、伝統ある大会に新たな伝統と
新しい風を吹き込ませました。ウッズはゴルフの伝統を打ち破っているのでも、伝統に対抗を
しているのでもなく、ウエストウッドやメディエイトをただ倒したのでもありません。ウッズは、
自らが背負ったプレッシャーに苦しみながらも心の片隅では楽しみ、奇跡とは起こるのではなく、
自らの手で起こすものだと教えてくれました。そして、伝統とは過去に安住し、過去を懐かしむ
ものではなく、現代が過去と未来を繋げることにより、厚みを増すことも、ウッズは教えてくれました。
ウッズは、伝統の継承者でもあり、未来への伝道者でもあるのです。
そのことを勝つことだけで証明するため、ひざの痛みを抱えたウッズは、サンディエゴまで
何かに導かれたのかもしれません。
Woods said it may have been his 'greatest tournament,' and it's hard to disagree(Golf.com)
A Torrey Story: Woods' win was greatest U.S. Open ever(ESPN)
U.S. Open finale the stuff of legends(NBCSports.com)
ウッズは4月のマスターズ(2位)の直後に持病の左ひざの手術を行い、
ぶっつけ本番で今大会に出場した。痛みに顔をしかめながらのプレーだったが、
5日間、91ホールに及ぶ激闘を見事に制した。(読売新聞)
「激闘」を「見事に」制する・・・正直なところ、今大会のタイガー・ウッズに対して、これらの言葉ほど、
陳腐に聞こえてくるものもありません。それではどんな言葉が適当なのか?それは実のところ
思いつきません。「奇跡」の優勝?それもちょっと違うような気もします。
とにかく、ウッズはひざの痛みに耐え、全米オープンを優勝したことは紛れもない事実であります。
ウッズがグランドスラムで優勝することなんて、もはや何度もあることではありますが、今回は特に
別格の優勝であることは、本人ですらビックリしていると発言するところからしても明らかです。
ゴルフは他のスポーツ、特に団体スポーツと違い、自らのミスを自らの力で乗り越えなければ
なりません。ウッズにとっては、6月第2週の週末、それだけを乗り越えるのでは不足でした。
例えば日曜日の13番ホール、リー・ウエストウッドがラテラル・ウォーター・ハザードへ打ち込んだ後、
ウッズはそれにつられた形で、同じようにハザードへ打ち込みました。それはウッズが克服すべき
山のほんの一部。最大の山は、持病であり、手術明けでもあるひざの痛みをも乗り越えることでした。
いや、正確にはウッズが自らにそう課したとも言えるでしょう。
一方で、スポーツ界のスーパースターとは、最悪の状況に陥ったとしても、そこを切り抜ける
能力を持ち合わせている人だとも言えるでしょう。ウッズはその典型です。
ウッズは土曜日のラウンドでは、奇跡的なパット、奇跡的なチップインを披露してくれました。
しかし真骨頂はやはり、一つ前のグループで既に-1で上がっていた、ロッコ・メディエイトが
小さなテレビを遠目から見守る中、ウッズが18番ホールで7メートルのパットを決めた瞬間です。
恐らく、これまでのゴルフ生命で最も慎重に芝目を読んだウッズが、パターでボールを打つ。
その瞬間、沢山という言葉ですら足りなさそうなギャラリーが一斉に立ち上がり、ボールが
カップに吸い込まれました。いや、あのギャラリーとウッズの強い意志がボールに意思を
与えたようにすら思えてきます。
ウッズがPGAにデビューする前、アメリカでのゴルフ界は、何人ものスーパースターはいたけど、
一般的な考え同様、おじさんのスポーツだったことは否めません。ウッズはそれを全て変えました。
それも、日本の一過性ななんちゃら王子とは全く違い、自らが勝つことで証明してきました。
・ゴルフは白人だけのスポーツではないこと
・ゴルフは決して黙ってみるだけのスポーツではないこと
(ウッズ以前に、ギャラリーがあそこまで叫んで喜ぶ姿はなかったように思えます)
・ゴルフはオリンピックの競技に用いられていないけど賞金はバカ高い、
マイナーなメジャースポーツではなく、れっきとしたメジャースポーツであること
・ゴルフは野球やフットボールなどと同じように、見るだけでも十分に楽しめるスポーツであること
第108回全米オープンは、これら全てを見事なまでに証明し、伝統ある大会に新たな伝統と
新しい風を吹き込ませました。ウッズはゴルフの伝統を打ち破っているのでも、伝統に対抗を
しているのでもなく、ウエストウッドやメディエイトをただ倒したのでもありません。ウッズは、
自らが背負ったプレッシャーに苦しみながらも心の片隅では楽しみ、奇跡とは起こるのではなく、
自らの手で起こすものだと教えてくれました。そして、伝統とは過去に安住し、過去を懐かしむ
ものではなく、現代が過去と未来を繋げることにより、厚みを増すことも、ウッズは教えてくれました。
ウッズは、伝統の継承者でもあり、未来への伝道者でもあるのです。
そのことを勝つことだけで証明するため、ひざの痛みを抱えたウッズは、サンディエゴまで
何かに導かれたのかもしれません。