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[MLB短評]仕留められたトラ

2011-10-12 07:59:43 | MLB
Full Nelson: Cruz belts walk-off slam in 11th (MLB.com)
Tigers in a hole, but series far from over (MLB.com)
Tigers are in big trouble against baseball's most complete team (SI.com)


アメリカンリーグのチャンピオンシップ第2戦からほぼ1週間前、レンジャーズの本拠地のとなりにあるカウボーイズ・スタジアムで、今回のプレイオフ同様にダラス/テキサス対デトロイトの戦いがありました。カウボーイズが今シーズン絶好調のライオンズを迎えての試合で、カウボーイズは大きくリードしながらも自滅をしました。その模様は、というよりQBトニー・ロモの不安定なパスは、カウボーイズが敗北した瞬間に全米で嘲笑の的となり、ワシントン・レッドスキンズのクリス・クーリーが「ロモの失態を見るのは楽しい」という趣旨の発言が出る事態にまで至りました。

しかし、レンジャーズとタイガースが戦うALCS第2戦でテキサスから流れた映像は、別の意味で全米中で注目の的になりました。長いプレイオフの歴史にあって、サヨナラ満塁ホームランで決着した最初の試合になったからです。

レンジャーズが劇的な勝利を迎えるまでは相当の時間と苦労がありました。日曜日に行われるはずだった第2戦は雨天順延となり、月曜日の午後の試合となります。先発のデレック・ホランドは制球に安定さを欠き、1回表には2・3塁、2回表には満塁の危機を迎えますが、それらは何とか乗り切ります。レンジャーズも1回裏に2点を取っていましたが、ホランドは3回表、ライアン・レイバーンに3ランHRを打たれ、それをきっかけに降板となります。

それまでのホランドの投球内容を考えれば、この降板は当然の帰結とも言えますが、同時にタイガースはホームランよりも前に2度も累上を賑わせながらも1点も取れなかったことが、後々響きます。レンジャーズが2人目に送ったスコット・フェルドマンが4回1/3を無失点で抑え、レンジャーズへ流れを引き戻しました。7回裏に同点に追いついたレンジャーズは、延長11回裏、ネルソン・クルーズのサヨナラ満塁ホームランを呼び込むことになります。

初戦を落としたタイガースにとって、序盤のチャンスを不意にし、9回表にヒットと敬遠で得た満塁のチャンスをレンジャーズのクローザー、ネフタリ・フェリースを前に挫かれた後の、サヨナラ満塁ホームランという仕打ちは、残酷とすら言えます。逆にレンジャーズはそうした状況を乗り越え、ALCS史上でも記憶に残る試合を演じました。そこにはプレイオフに来て調子を上げてきたクルーズの活躍も去ることながら、ブルペン陣のがんばりという全員野球的な要素も見逃せません。先週日曜日と違い、月曜日の夜、テキサスのファンは本当に楽しい試合を目の当たりにしました。

対照的にタイガースが不幸にも、ここにきて今シーズン絶望となったマギオ・オルドネスのように、特に野手陣に怪我人を抱えてします。さらにタイガースが辛いのは、雨天順延の関係で、移動日なしでデトロイトに向かい、勢いが増しているレンジャーズを相手にしなければならないことです。仮にレンジャーズが第3戦を取るとなると、3勝0敗のレンジャーズの2年連続ワールドシリーズ進出はほぼ確定的になります。それを覆したのは2004年のレッドソックスだけです。だからこそ、あのサヨナラホームランはタイガースにとって残酷なのです。


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