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[MLB短評]No longer Loser-第81回オールスターゲーム-

2010-07-16 06:01:22 | MLB
National uprising: NL wins All-Star Game(MLB.com)
Bauman: NL capitalizes on Year of Pitcher(MLB.com)
Reds' Scott Rolen pulls a Pete Rose in All-Star Game(Detroit Free Press)


アレックス・ロドリゲスが最後まで出場機会を得られなかったからなのか、2010年のオールスターゲーム
過去最低のテレビ視聴率を獲得したそうです。しかし、その少ない数の人々にとってはとても見ごたえのある接戦、
そしてここ数年間では珍しいオールスターゲームを見ることができました。


サインに応じるアレックス・ロドリゲス

ナショナルリーグが1996年以来の勝利を収めたこの試合は、序盤は今シーズン前半を象徴する試合になりました。
それは、「圧倒的な投手力が光るナショナルリーグ」対「技とパワーが光るアメリカンリーグ」の典型が現れました。
ナショナルリーグ先発で、ここまで既に15勝も集めているウバルド・ヒメネスは、1回裏にデレック・ジーターを四球で、
ミゲル・カブレラをセンター前のヒットで塁上に出した後、ジョシュ・ハミルトンをヒメネスへの併殺打でねじ伏せました。
4月のノーヒッター以降、ヒメネスは速球と独特な変化球に加え、ランナーを出しても全く慌てない度胸も備えた真の
エースに成長をしたことを全米中に広めました。


ウバルド・ヒメネス

ナショナルリーグの2番手で、ここまで防御率1点台を守っているジョシュ・ジョンソンは、ヒメネス以上の投球をしたと
言えるでしょう。特に3回裏、9番のカール・クロフォードをサードへのラインアウトに終わらせ、1番のイチローに対して、
考える余裕を全く与えないほどのテンポとボールのロケーションでイチローを三振に抑えました。イチローがあれほど
簡単に三振をする姿はシーズン中では見ることなどほとんどできません。続いてのジーターはジョンションの速球を
ファールでかわしていましたが、最後はジョンションが緩い高めいっぱいのシュートでジーターを見逃し三振に
仕留めました。ジョンションは4回裏もアメリカンリーグを三者凡退に抑えましたが、1回裏から4回裏までを見ただけで、
なぜナショナルリーグの投手陣が今年のメジャーリーグ全体の流れをアメリカンリーグ優勢からナショナルリーグへ
変えているのかがわかったと思います。

こうして前半はスター投手とスター打者の対決だったとしたら、後半は勝敗を賭けた対決だったと言えるでしょう。
特にこれ以上オールスターゲームでの辱めを受けたくないナショナルリーグにとって、今年はこれまでにないほどの
真剣さが見られました。それは例えば、5回表にデビッド・ライトの盗塁を見ても、1点でも相手リーグより上回ろうとする
意思表示でした(結局この回はブライアン・マッキャンが凡退して得点に至らなかったのだけど)。

そしてその意思が露骨に出たのは7回表でした。その現役期間中、ほとんどの期間をナショナルリーグで過ごす
スコット・ローレンがセンター前のヒットで1塁に出た後、マット・ホリデーの同じくセンターヒットにより、決して脚が
速いと言えないローレンが、三塁まで走りました。浅いあたりのセンターへのヒット、そしてセンターには強肩の
トリイ・ハンターという状況下で、レッズへ移籍して復活したローレンは、まるでかつてのレッズの大スターでかつ、
まだお遊びだった時代のオールスターゲームでひとり体当たりの走塁を見せたピート・ローズを彷彿をさせました。


3塁へヘッドスライディングするスコット・ローレン

ローレンは試合後、セーフになるとわかっていて3塁まで走ったのかと聞かれ、その確信はなかったとした上で、
このように付け加えています。

That's the beauty of it. You take a chance. Don't run with fear.

そう、それはローレンだけでなく、ナショナルリーグ全体が負けることに対して恐れをもっていなかったのでしょう。
そうでなければあのような走塁は生まれず、このヒットの後に打席にたったマーロン・バードが粘って四球を選び、
満塁のチャンスを産むこともなかったでしょう(バードは選球眼が向上して今シーズンのカブスの外野を代表する
選手になりました)。そして締めは前回のチャンスで凡退していた、オールスターゲームMVPマッキャンのライトへの
2塁打でした。


ブライアン・マッキャン

これまでのオールスターでは、どうしてもアメリカンリーグの強さと同時に、ナショナルリーグの自滅が目立ってしまい、
それがアメリカンリーグの優位性を示していました。しかし、今年のオールスターでは、ナショナルリーグのいい場面が
目立ちました(この際ホリデーの落球などは見逃す!)。もはやナショナルリーグは負け組ではありません!!
アメリカンリーグ一辺倒だったメジャーの風向きが、カリフォルニアの空の下、ナショナルリーグへ変わり始めたことを
実感したオールスターでした。今年の10月、ワールドシリーズがナショナルリーグのスタジアムから開始できるように
なった以上、あとはその実力を証明するだけです。問題はどのナショナルリーグのチームがその役割を果すか、です。


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