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[NFL短評] It should not be Party Time for Cowboys.

2009-12-20 20:27:57 | NFL
セインツ、開幕13連勝でストップ=NFL(時事通信) - goo ニュース
Cowboys put an end to December woes, Saints' unbeaten season(NFL.com)
Ripple effect of Cowboys' win could have far-reaching impact(NFL.com)
Saints far from perfect as playoffs approach(ESPN)
Confident Romo leads Dallas Cowboys to 24-17 victory(dallasnews.com)


いつも楽観的なカウボーイズのヘッドコーチ、ウェイド・フィリップスは、全勝中のセインツ戦を前にして、
その見通しを変えることは一切しませんでした。

Dallas Cowboys coach: 'Not going to cow down' to New Orleans Saints (ESPN)

We have confidence in our football team. We're not going to cow down to these guys.
We think we can win. Every game we've been in so far, we thought we could win.
I believe we feel the same way going into this one.


今日、ニューオーリンズに乗り込んだカウボーイズは、フィリップスの予言通り、セインツに今シーズン
初めての土をつけることに成功しました。特に前半は、トニー・ロモお得意のプレイアクションとオフェンス
ラインの見事なプロテクションにより、マイルズ・オースティンへの49ヤードのTDパスを決めるなどし、
12月に弱いカウボーイズというのが嘘のような展開でした。この試合を通じて、ロモのプレイアクションが
うまく決まっていた印象を受けます。

カウボーイズは、12月になる前に連勝をしていたときに、オースティンの活躍が原動力になりました。
ロイ・ウィリアムズがオースティンの活躍に嫉妬しているという報道がされても、オースティンのキャッチと
その後のランはカウボーイズにとって重要でした。前半のこのTDを含めたオースティンのプレイぶりは、
その頃のカウボーイを思い起こさせてくれました。また、ニューオーリンズのスーパードームは、過去何度も
スーパーボウルが開催されたドームですが、この試合の前半だけを見ると、カウボーイズはスーパーボウルに
進出したのではないかと思わせてくれるプレイぶりでした。

前半の締めは、この1週間ほとんど練習に出ていなかったデマーカス・ウェアがMVP候補のセインツQB、
ドリュー・ブリーズをサックしました。その後にFGを決めたカウボーイズは意気揚々と前半を終える
ことができました。その勢いは、後半最初のドライブで、カウボーイズが7分も費やしながらTDに
持ち込んだところまで続いたと思います。

しかし、ハーフタイムで調整を図ってきたセインツは、ここから粘り出します。セインツは今シーズン、
2回ほどもう負けるのではないかと思われた試合がありましたが、そこから逆転してここまで全勝を
保ちました。今回もその流れになりつつありました。特に17点目のTDに繋がる4thQのドライブでは、
ピエール・トーマスへのショートパスからのロングラン、ブリーズの冷静なスクランブル、そして締めに
ランス・ムーアへのフレアパスからのTDと、時間をかけずにTDを上げられるセインツらしい攻撃が
見られました。サイドラインにいたフィリップスも、このあたりのアジャストまでは予期していたはずです。

24-17で1TD差になったとき、スーパードームはカウボーイズのオフェンスコールの邪魔をするものすごい
騒音に包まれました。カウボーイズは時間を費やしながらも1FGでも決めておけばこの試合を楽に
できるはずでした。実質的に最後のオフェンスシリーズとなったこのドライブで、カウボーイズの
オフェンス、もっといえばロモはこの試合で最も素晴らしいプレイを出しました。

1-10-NO 45 (5:40) 9-T.Romo pass short left to 89-J.Phillips to NO 22 for 23 yards
(55-S.Fujita, 92-R.Ayodele)


この一つ前のプレイで、ロモはオースティンへショートパスを通し、オースティンお得意のランでフィールドの
中央へプレイを進めました。そしてこのプレイで、ロモはこの日決まりまくっていたプレイアクションから、
ロールアウトし、同時に回転しながらもレシーバーがフリーになるのを待ちました。そこでフリーになった
ジョン・フィリップスへ冷静にパスを通し、フィリップスはインバウンドでプレイを止めました。これにより、
カウボーイズはFG圏内に一気に近づいただけでなく、時間を消費しながら前進し、最悪でもセインツが
タイムアウトを取らざるを得ない口実を作らせました。ロモは試合後、あの騒音の中で進ませたドライブに
ついてこう語っています。

We did what we knew we had to do on that drive.
We all know how good their offense is so we had to move the ball on them


しかし、その後カウボーイズはこの試合で最も最悪なプレイを出しました。ニック・フォークが24ヤードの
簡単なFGを失敗したのです。フィリップスHCもこれほどまでの簡単な距離でのキック失敗は計算していなかった
はずでしょう。こうしたキッキングゲームの弱さは12月にカウボーイズが弱い理由のひとつだと思いますが、
この試合でもその嫌な流れを露呈しました。タイムアウトは残っていないけれど、残り時間2分20秒弱で、
セインツは1TDを取る能力、もっといえばブリーズとレシーバー陣の成熟度の高さを誇っています。サイドラインの
フィリップスHCとロモは気を揉んでいたことでしょう。もしこの試合を落とせば、正月明けにはフィリップスは
更迭され、ロモは来年以降も12月になれば自信を喪失しつづけることになったはずです。

しかし、そうしたモヤモヤを振り払ってくれたのは、前半終了時と同じウェアでした。カウボーイズの守備陣は、
3rdQまでセインツに1度も3rdダウンの更新を許しませんでした。20点以上が当たり前のセインツオフェンスを
抑えたカウボーイズのディフェンスは大いに褒める必要があるようです。

一方でオフェンス陣も、試合を通じていいプレイを出していたと思います。この試合ではプレイアクションが
見事に決まっていたと言ってもいいでしょう。オフェンスとディフェンスがうまく噛みあって、常に主導権を握り
勝利を収めることができたのは大きいのですが、やはり最後のFG失敗は後味を悪くしました。残り2試合は
同地区のレッドスキンズとイーグルスという、成績以上にタフな相手が待っています。それは接戦を
意味します。ひとつのFGの成否が重要になるだけに、今日みたいな悪い印象は7日間で消すべきです。

どういう形であれ、12月最初の勝利を収めたカウボーイズは、これが今シーズン最後の勝利ではなく、ここから
上昇を描いていかなればなりません。クリスマスは近いですが、パーティーの時間はできれば2月までお預けで
あってほしいと願っているはずです。適度な楽観は許されても、過度な楽観は許されません。


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