そのさきへ -Deep Sky Blue version-

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[短評]タイガーの見えない将来

2010-02-21 13:31:19 | 日常生活
Tiger Woods Says No Timetable for His Return to Golf(Bloomberg)
Complete text of Tiger Woods statement(Golf.com)
It took years and several affairs, but finally we saw real Tiger(Golf.com)
With return unclear, wait will continue(ESPN)


タイガー・ウッズは、メディアとの微妙な距離感を保つことにより、自らのイメージを作り出すことと、
プライバシーを守ることに成功し続けてきました。何でも知りたがるメディアは、タイガーについては
闇の中を手探り状態で取材する他なかったといえるでしょう。しかし、昨年11月末、その闇に光が
差し込みました。そのきっかけを作ったのはタイガーでした。それ以来、メディアはタイガーについて
現実にあったことから嘘っぱちまで全てを伝え続けました。その間、タイガーは公式サイトでの
短いコメント以外では公の場に出ず、闇の中を縫うようにセラピーに通っていたようです。

現地金曜日(19日)の昼前、タイガーは「過去・現在・そして未来について語るため」約3ヶ月ぶりに
人々の前に出ました。それは「記者会見」(press conference)ではなく、いうなれば「声明発表」
(press statement)と呼べるほどの、一方的なタイガーの告白でした。「会見場」ならぬ「発表場」に
入ることができたのは誰だったのか?

...Many of you in this room are my friends. Many of you in this room know me.
Many of you have cheered for me or you've worked with me or you've supported me.

Now every one of you has good reason to be critical of me. I want to say to
each of you, simply and directly, I am deeply sorry for my irresponsible and
selfish behavior I engaged in.


つまり「正当な批判をする権利がある友人たち」でした(あとはごくわずかの記者)。これを見ても、
タイガー陣営は今でもメディアをコントロールしたい気持ちがあったのでしょう。会場の外では、
分厚い警備体制を敷き、会場の中では、自分について全てをさらけ出すことができる数限られた人で
防御体制を敷き、タイガーは全世界に向けて自らのコメントを淡々と、時には少し感極まりながらも
読み上げていきました。

タイガーは正面に置かれたテレビカメラに向かい、これまで自分は何でもできるのだと勘違いしたことや、
一連の不倫騒動などについて謝罪をし、今後は自らを成長させていきたい旨の内容を話し続けました。
その光景は「台本通り」で「十分すぎるリハーサル」の賜物だったかもしれませんが、話す内容自体は、
これまでの「高慢な」タイガーを反省する内容でしたので、タイガーはこれからはもっと前向きで新しい
一歩を進んで行きたいという決意が見られたと思います(高慢という批判があからさまに出てきたのも、
あの事故以来だと思いますが)。

しかし、タイガー陣営にとって台本にないことがこの発表内で起こりました。タイガーは文字通り前向きで
しっかりと話していたさなかに、ずっとタイガーだけを映し続けてきた正面のテレビカメラが壊れました。
それ以降、タイガーを映すカメラは、タイガーの左後にあるカメラだけになりました。タイガーの向こうには
「友人たち」やPGAコミッショナーと共に、最前列に座る母親が座っていました。これまで見たことなかった
息子の姿を見守る母親の姿がそこにありました。それは、タイガーが結婚生活で過ちを犯したこと以上に、
タイガーも人間であることを証明していました。

タイガーにとって、その形式は別にして、今回メディアの前に出ることで「過去と現在」を明らかにすることは
できたと考えたいでしょう。しかしタイガーは「将来」について具体的なことを話すことなく会場を後にしました。
タイガーは人間的にこうなりたいという希望と、これからもセラピーに通い続けることを述べた一方で、それらと
同じくらい重要なこと、いつツアーに復帰するのかは明言しませんでした。正確には名言できなかったのかも
しれません。個人的には、「マスターズに出ます」とこの場ではっきり話すのだと思っていたのですが、
あの様子ではそうでもなさそうです。あるいは、仮に出場するとしても、ネタを小出しにしていくことにより、
メディアからの注目度を制御しようとしているのでしょうか。タイガーはツアーの復帰について語らなかったことで、
この会見は過去の過ちと現在の、もっといえば現在進行形の記者会見の内容と立ち振る舞いについてしか、
評価がなされなかったのではないでしょうか。

一方で、昨年今頃のアレックス・ロドリゲスと全く同じ状況で、今タイガーが何をどのように話してもメディアは
タイガーを叩く準備しかできていません。そう考えると、タイガーは人々の前に出る勇気を持つことが
できただけでも成長と見るべきなのかもしれません。

しかし、それでもものすごく根本的な疑問が残ります。そもそも、タイガーはなぜこうした会見を開かざるを
得なくなったのでしょうか。タイガーが事故を起こしたからか、それともメディアの圧力がそうさせたのか?
メディアはタイガーが11月のあの夜に行おうとしたことしているようです。そう、暴走です。

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