[NFL短評]Boys of Busy

NFL suspends Cowboys CB Jones for a minimum of four games(NFL.com)
Adam Jones' latest suspension should not come as a surprise(NFL.com)
Goodell Shows Backbone Cowboys Can't(NBCSports.com)
Analyzing who's affected by Cowboys' Adam Jones suspension(SI.com)

今年の春、1年以上もの謹慎が解けつつあった元テネシー・タイタンズのCB/PRは、カウボーイズへ移籍し、
同時に「パックマン」と呼ぶのは止めてくれとメディアやファンに懇願しました。過去に6回も逮捕された
経験を持つアダム・ジョーンズは、ダラスで心機一転するつもりでした。

夏になり、NFLから正式に復帰が認められたジョーンズの身には、これが最後のチャンスであることを
否応がなく感じていたはずです。しかしその思いは酒におぼれたことにより水の泡となりました。
またしても、ジョーンズはダラスのホテルで泥酔した状況で不祥事を起こし「パックマン」へ
逆戻りしました。そして待ち構えていたのは、カウボーイズの別のジョーンズ、ジ社長でありGMの
ジェリー・ジョーンズからの赦しと、コミッショナーからの「最低」4試合の出場停止。最長、実質的に
NFLからの永久追放です。

正直なところ、パックマンはNFLどころか現在のアメリカのプロスポーツ界においても異常なほどの
前科の持ち主です。彼の名前だけでスモールマーケットのテネシー・タイタンズの名前を全国区にした
くらいの選手なので、パックマンと他の選手を同等に扱うわけにはいきません。ひとついえることは、
一度は追放しながらも、その後赦しを与えたNFLは、もはやパックマンにガマンならなくなった、
ということでしょう。タッチダウン後の派手なセレブレーションすら反則扱いにさせたコミッショナーが、
2アウト、いや4thダウンに追い込まれているパックマンに対し、次の1stダウンを与えるわけがありません。
どうもパックマンはその程度すらわかっていなかったようで、むしろNFLへの復帰で全てが叶った程度に
考えていたのではないでしょうか。

一方で、パックマンは能力はありながらも性格に難ありとどのチームも手を出ししぶった中にあって、
カウボーイズとジョーンズ・オーナーはセカンダリー陣強化には性格どうこう言っている場合ではないと
ギャンブルに出ました。少なくとも9月いっぱいぐらいまではその賭けは成功したと思いますが、
その一方で、テレル・オーウェンスを「良い子」にしたように、パックマンを更正するまでには至りません。
だからこそ、最初に今回の不祥事が明るみになった際、カウボーイズはパックマンにこれといった
罰則を与えなかった、いや与えたくなかったのでしょう（練習を無断欠席しただけで1試合の出場停止を
プラクシコ・バレスに与えたジャイアンツとは正反対です）。残念ながらギャンブルでの借金のツケが
ここにきて、というよりこんなにも早い段階で払わされるとは思わなかったでしょう。

4試合の出場停止で終わるのか、本当にこれでNFLから追放になるのかはまだわかりませんが、
いずれにしても、まだ長い人生をどのようにマネージメントをするのかは、アダム・ジョーンズ自身の
問題でしょう。

しかし、カウボーイズはそんな先のことまで考える余裕はありません。トニー・ロモは指の怪我で1ヶ月は
戦線を離脱、パックマンガ謹慎を受けてコーナーバック陣はパックマン以前の時代へ逆戻りし、ルーキーが
相手チームのエースレシーバー陣を待ち構える必要が出てきました。

そこでカウボーイズは、コーナーバックではなく、デトロイト・ライオンズで燻っていた優秀なレシーバー、
ロイ・ウィリアムズを獲得しました。確かにこれでオーウェンスへの密着マークは解け、カウボーイズの
オフェンスはさらに強化されるはずです。しかし、ウィリアムズへパスを投げるロモはしばらくいません。
ディフェンスは相手のレシーバーを封じられるか不安です。リーグ屈指のパンターのマット・マクブライアは
怪我により今シーズン絶望となりました。前途洋々、スーパーボウル出場の筆頭とも目されていた
カウボーイズは、晴天の霹靂、たった数日のうちにお先真っ暗になりつつあります。

パックマンは、フィールド上ではボールへの嗅覚がすばらしく、インターセプトの常連のような選手でした。
カウボーイズの運命までも、パックマンはインターセプトしてしまったのでしょうか。