米中活況の陰でたそがれの日本株、リスクマネーは米大型株へ (ロイター 09/11/12)
インタビュー:鳩山政権に5つの不安材料=田中秀征氏 (ロイター 09/11/12)
【日本株週間展望】下落、低成績に海外勢愛想尽かす-アジアで劣後 (ブルームバーグ)
Too early to decide on E. Asian grouping: Tokyo (Straits Times)
今週、ドイツと日本でそれぞれ20周年を祝うイベントが行われました。ドイツでは9日にベルリンの壁崩壊の20周年を、
日本では現在の天皇陛下の即位20周年が祝われました。
ベルリンの壁の崩壊は、第2次大戦直後から続いた東西陣営の対立を崩す歴史的なできごとでした。これを機に世界は
もっと平和になるかと思われましたが、そうはなりませんでした。しかし自由主義に基づく経済が東側諸国にも広がり、
経済面では大きな変革となりました。世界は冷戦後の経済体制に対応しようと必死になりましたが、昭和から平成になった
日本だけはその流れを全く掴むことができず、大した変革を起こすこともできず、失われた時期が続いています。それでも、
ベルリンの壁崩壊から遅れて20年、ついに日本でも選挙による変革が起こりました。多くの人はこれで何かが変わると
期待をもったはずです。
ところが、今実際何が起こっているかというと、兜町に強固な壁ができつつあるのです。それは日経平均1万円という節目の
前にできあがりました。不吉な「二日新甫」の11月、終値ベースで日経平均は100円以内のレンジをうろうろとしており、
1万円目の前にして上に進めない状況になっています。というより、1万円を超えたくても、その前に「兜町の壁」が大きく
立ちはだかっているのです。
ベルリンの壁は多く人々の力により崩れ去りましたが、兜町の壁は日に日に強固さを増しています。一方で壁を崩そうと
果敢に挑む人たちが減りつつあります。海外投資家が取引高の6割を占める東証において、その主体が日本を見放し、
中国やアメリカ株へ投資の軸を移しているからです。中には日本に対して「NDC」なる略語を当てた外資系証券会社が
あるというのです。何の意味なんか?「New Declining Country」です。曰く「日沈む国」です。
では誰があんなところに壁を作ったのでしょう?それは間違いなくマクロ経済政策を持ち合わせていない鳩山政権です。
民主党は8月の選挙までは自民党を相手にして戦っていればそれで済みましたが、いざ政権の座に就いたときに問題の
深さを知ったはずです。しかし、民主党にはそれがどれほどのものだったのかがわかっていなかったようで、自民党憎しの
感情を日に日に増しているようです。その典型が八ツ場ダムであったり、高速道路無料化であったり、今行われている
行政刷新会議、通称「事業仕分け」というミクロな動きに表れています。
自民党が見境もなくやってきた公共事業や個別の事業を見直すのは悪いことではないでしょう。しかし今そんなところに
力を注いでいる間に、世界は日本を見捨てている事実に民主党は気づいていません。なぜ経済対策が絶対に必要である
この時期において、例えば田中秀征氏が説く「経済5カ年計画」のような、日本の将来が見える経済成長策を示すことが
できないのでしょうか。日本株の投資主体の6割は外国人であるにも関わらず、その海外投資家が日本へお金を落とそうと
思わせる政策を何一つ示すことができないのです。海外投資家は国家予算の組み替えや子育て支援よりも大きな政策を
期待しているはずです。およそ今の政策では「兜町の壁」を崩す助けにもなりえません。
それどころか、鳩山首相は「いずれ日本の経済は中国に抜かれるけど、内需拡大を図れば日本の将来は明るいですよ」と、
シンガポールの新聞に対して話したそうです。日本が中国に抜かれるのは必然だとしても、将来が明るいのは幻想です。
仮に将来が明るいのだとしても、首相の言い振りは高くて分厚い壁の向こう側で「日本の未来を信じて投資しましょう」と
ささやいているだけにしか聞こえません。
日本がこのまま1人負けをするのを避けるためには、政権がこの壁を壊すだけの強さを投資家に与えなければならないのです。
しかし今のままでは、壁がテトリスのようにどんどん高くなっていき、限界になったら9000円サイドに倒れ、投資家がみんな
圧死してしまうのではないかと思います。だから海外投資家は資金を日本から「日本以外のアジア」(このフレーズも最近
経済記事でよく見るようになりました。もちろん日本にとってはマイナスな意味で)やアメリカへ「避難」させているのです。
それはまさに、海外投資家が日本は「アジア共同体」には邪魔だと考えて、日本とアジアの間に壁を作っているようです。
インタビュー:鳩山政権に5つの不安材料=田中秀征氏 (ロイター 09/11/12)
【日本株週間展望】下落、低成績に海外勢愛想尽かす-アジアで劣後 (ブルームバーグ)
Too early to decide on E. Asian grouping: Tokyo (Straits Times)
今週、ドイツと日本でそれぞれ20周年を祝うイベントが行われました。ドイツでは9日にベルリンの壁崩壊の20周年を、
日本では現在の天皇陛下の即位20周年が祝われました。
ベルリンの壁の崩壊は、第2次大戦直後から続いた東西陣営の対立を崩す歴史的なできごとでした。これを機に世界は
もっと平和になるかと思われましたが、そうはなりませんでした。しかし自由主義に基づく経済が東側諸国にも広がり、
経済面では大きな変革となりました。世界は冷戦後の経済体制に対応しようと必死になりましたが、昭和から平成になった
日本だけはその流れを全く掴むことができず、大した変革を起こすこともできず、失われた時期が続いています。それでも、
ベルリンの壁崩壊から遅れて20年、ついに日本でも選挙による変革が起こりました。多くの人はこれで何かが変わると
期待をもったはずです。
ところが、今実際何が起こっているかというと、兜町に強固な壁ができつつあるのです。それは日経平均1万円という節目の
前にできあがりました。不吉な「二日新甫」の11月、終値ベースで日経平均は100円以内のレンジをうろうろとしており、
1万円目の前にして上に進めない状況になっています。というより、1万円を超えたくても、その前に「兜町の壁」が大きく
立ちはだかっているのです。
ベルリンの壁は多く人々の力により崩れ去りましたが、兜町の壁は日に日に強固さを増しています。一方で壁を崩そうと
果敢に挑む人たちが減りつつあります。海外投資家が取引高の6割を占める東証において、その主体が日本を見放し、
中国やアメリカ株へ投資の軸を移しているからです。中には日本に対して「NDC」なる略語を当てた外資系証券会社が
あるというのです。何の意味なんか?「New Declining Country」です。曰く「日沈む国」です。
では誰があんなところに壁を作ったのでしょう?それは間違いなくマクロ経済政策を持ち合わせていない鳩山政権です。
民主党は8月の選挙までは自民党を相手にして戦っていればそれで済みましたが、いざ政権の座に就いたときに問題の
深さを知ったはずです。しかし、民主党にはそれがどれほどのものだったのかがわかっていなかったようで、自民党憎しの
感情を日に日に増しているようです。その典型が八ツ場ダムであったり、高速道路無料化であったり、今行われている
行政刷新会議、通称「事業仕分け」というミクロな動きに表れています。
自民党が見境もなくやってきた公共事業や個別の事業を見直すのは悪いことではないでしょう。しかし今そんなところに
力を注いでいる間に、世界は日本を見捨てている事実に民主党は気づいていません。なぜ経済対策が絶対に必要である
この時期において、例えば田中秀征氏が説く「経済5カ年計画」のような、日本の将来が見える経済成長策を示すことが
できないのでしょうか。日本株の投資主体の6割は外国人であるにも関わらず、その海外投資家が日本へお金を落とそうと
思わせる政策を何一つ示すことができないのです。海外投資家は国家予算の組み替えや子育て支援よりも大きな政策を
期待しているはずです。およそ今の政策では「兜町の壁」を崩す助けにもなりえません。
それどころか、鳩山首相は「いずれ日本の経済は中国に抜かれるけど、内需拡大を図れば日本の将来は明るいですよ」と、
シンガポールの新聞に対して話したそうです。日本が中国に抜かれるのは必然だとしても、将来が明るいのは幻想です。
仮に将来が明るいのだとしても、首相の言い振りは高くて分厚い壁の向こう側で「日本の未来を信じて投資しましょう」と
ささやいているだけにしか聞こえません。
日本がこのまま1人負けをするのを避けるためには、政権がこの壁を壊すだけの強さを投資家に与えなければならないのです。
しかし今のままでは、壁がテトリスのようにどんどん高くなっていき、限界になったら9000円サイドに倒れ、投資家がみんな
圧死してしまうのではないかと思います。だから海外投資家は資金を日本から「日本以外のアジア」(このフレーズも最近
経済記事でよく見るようになりました。もちろん日本にとってはマイナスな意味で)やアメリカへ「避難」させているのです。
それはまさに、海外投資家が日本は「アジア共同体」には邪魔だと考えて、日本とアジアの間に壁を作っているようです。
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