China Pushing for Yuan to be Global Currency (VOA.com)
古代から中世にかけて、中国とヨーロッパはシルクロードを通じて関係を築きあげてきました。中国からは絹糸が、
ヨーロッパからは文化がそれぞれの相手へ渡りました。現在、シルクロードを通じての交易は全くありませんが、
中国とヨーロッパとの関係はつながっています。しかしそれはかつてのような対等さをもったものではありません。
ヨーロッパから中国へ向かうのは、経済面での救済要請、そして中国からヨーロッパへ向かうのが、元です。
昨年のヨーロッパでの金融危機後、EU内ではドイツがギリシャを救済すべきかどうかで揺れていました。そのなかで、
中国はさっそうと登場し、ギリシャ国債を購入しました。それだけではギリシャを助けるほどにはなりませんでしたが、
この出来事は中国が国際金融の面でも国際舞台へ出てきたことを意味しています。それが顕著になったのは、
2011年に入ってすぐ、中国がスペイン国債の購入に動き出したときです。中国内ではインフレ防止のために金融
引き締めに走る一方で、ダフ付いている元の出口として、財政問題に悩むヨーロッパの国債を購入したのだとも
言えます(その反面、中国は買い増していた日本国債を売り越しに傾きました)。
シルクロードはせいぜい地中海までしか届きませんでした、今回、見えざるシルクロードを通り、元は大西洋を
見るまでに至ったのです。そのことによって、中国は元を世界的な通貨としての影響力、しいては元を決済通貨に、
いずれは基軸通貨のひとつにまで高めたいという政治的な意思を感じざるを得ません。中国政府は輸出主導の
経済発展を進めるため、元安誘導をしつづけて、「弱い元」を演じさせていますが、一方では影響力のある
「強い元」を作り上げています。
少なくとも、中国は経済力では世界的な地位を占めるようになりました。しかし元はそこまでの地位を占めていない
最大の理由は、元が決済通貨としてはまだ使われていない点にあります。わずかながらですが元建て決済での
物のやり取りも行われていますが、それが一般的なものになるにはまだ時間を要することでしょう。しかしそのためには
モノを作り輸出をするだけでは不十分です。そんな程度のことならばほかの輸出主導経済の国家でもできることです。
それでは中国がそうした国に勝てることは何か?政治力、外交力を駆使し、例えば今回のように世界的な
金融危機を救済する意味で元を見せることにほかなりません。中国企業の世界的なプレゼンスは高まった今、
政治力による通貨のプレゼンスが必要となります。
中国は今週のダボス会議で、中国はこれからも「途上国のリーダー」として発言をしていきたいとセッションの中で
発言していました。世間は中国がもはや「途上国」とはいえないとは考えられています。しかし中国はいきなり
アメリカやドイツなどと対抗するより、途上国の親分となり、その国々を取り込むことが中国と元の影響力を高められると
いう意図があるのだと思います。中国のしたたかさを感じさせます。
古代から中世にかけて、中国とヨーロッパはシルクロードを通じて関係を築きあげてきました。中国からは絹糸が、
ヨーロッパからは文化がそれぞれの相手へ渡りました。現在、シルクロードを通じての交易は全くありませんが、
中国とヨーロッパとの関係はつながっています。しかしそれはかつてのような対等さをもったものではありません。
ヨーロッパから中国へ向かうのは、経済面での救済要請、そして中国からヨーロッパへ向かうのが、元です。
昨年のヨーロッパでの金融危機後、EU内ではドイツがギリシャを救済すべきかどうかで揺れていました。そのなかで、
中国はさっそうと登場し、ギリシャ国債を購入しました。それだけではギリシャを助けるほどにはなりませんでしたが、
この出来事は中国が国際金融の面でも国際舞台へ出てきたことを意味しています。それが顕著になったのは、
2011年に入ってすぐ、中国がスペイン国債の購入に動き出したときです。中国内ではインフレ防止のために金融
引き締めに走る一方で、ダフ付いている元の出口として、財政問題に悩むヨーロッパの国債を購入したのだとも
言えます(その反面、中国は買い増していた日本国債を売り越しに傾きました)。
シルクロードはせいぜい地中海までしか届きませんでした、今回、見えざるシルクロードを通り、元は大西洋を
見るまでに至ったのです。そのことによって、中国は元を世界的な通貨としての影響力、しいては元を決済通貨に、
いずれは基軸通貨のひとつにまで高めたいという政治的な意思を感じざるを得ません。中国政府は輸出主導の
経済発展を進めるため、元安誘導をしつづけて、「弱い元」を演じさせていますが、一方では影響力のある
「強い元」を作り上げています。
少なくとも、中国は経済力では世界的な地位を占めるようになりました。しかし元はそこまでの地位を占めていない
最大の理由は、元が決済通貨としてはまだ使われていない点にあります。わずかながらですが元建て決済での
物のやり取りも行われていますが、それが一般的なものになるにはまだ時間を要することでしょう。しかしそのためには
モノを作り輸出をするだけでは不十分です。そんな程度のことならばほかの輸出主導経済の国家でもできることです。
それでは中国がそうした国に勝てることは何か?政治力、外交力を駆使し、例えば今回のように世界的な
金融危機を救済する意味で元を見せることにほかなりません。中国企業の世界的なプレゼンスは高まった今、
政治力による通貨のプレゼンスが必要となります。
中国は今週のダボス会議で、中国はこれからも「途上国のリーダー」として発言をしていきたいとセッションの中で
発言していました。世間は中国がもはや「途上国」とはいえないとは考えられています。しかし中国はいきなり
アメリカやドイツなどと対抗するより、途上国の親分となり、その国々を取り込むことが中国と元の影響力を高められると
いう意図があるのだと思います。中国のしたたかさを感じさせます。