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[2008ワールドシリーズ#3] 待った!打った!勝った!

2008-10-26 20:32:11 | MLB
With walk-off thriller, Phils grab 2-1 lead(MLB.com)
Moyer pitched despite severe stomach virus(FOXSports.com)
Ruiz emerges as Phils' hero in Game 3 win(FOXSports.com)
Moyer not rewarded for diving play(MLB.com)
The Tampa Bay Rays show inexperience in loss to Phillies(SI.com)
Wake up! This World Series is worth watching(ESPN)


タンパベイの人々は地元チームのワールドシリーズ進出まで10年かそこら待つだけで十分でした。
フィラデルフィアの市民は、悪夢のジョー・カーターのサヨナラHRで幕を閉じたワールドシリーズから
15年待たなければなりませんでした。

しかし、ジェイミー・モイヤーはワールドシリーズまでメジャーデビューしてから22年、生まれてから
約46年も待たなければなりませんでした。おまけに、今日先発としてマウンドに上がるまで91分も
待たされました。それだけならまだしも、モイヤーはシリーズ開幕のころからウィルス性の病気で
お腹の調子がずっとよくなかったそうです。これほどまでに、ワールドシリーズ初登場までに
長く辛かった選手はそうはいないでしょう。

それでもモイヤーは、生まれてから20年かそこらでワールドシリーズに出場できた選手が数多くいる
レイズを完璧といってもいいほどに抑えました。交代させられる直前まで、改心のあたりというものは
ほとんどなく、レイズは文字通りの「凡打」を重ねるか、カール・クロフォードみたいに脚でその場を
打開するほかはありませんでした。今年のポストシーズン、初回に得点されることが多かった
モイヤーでしたが、今日は1回に対峙した選手4人すべてにストライクから入るほど慎重に投げ込んだのが
よかったのではないでしょうか。あの時点でモイヤーは投球の調子と、おそらく体の調子をも
整えることができたと思います。

唯一モイヤーが調子を狂わせたのは、7回表やはりクロフォードが打ったボテボテのゴロを飛び込んで
掴みに行き、1塁ライアン・ハワードへグラブトスをしたにも関わらず、セーフの判定をさせられた、
あのときでしょう。後に1塁の審判、トム・ハミルトンはその間違いを認めたようですが、このシリーズ、
審判のジャッジミスあるいは、第2戦で三振か四球なのかわからないあいまいなジャッジなど、
審判の動きにやや問題が残るところがあります。

一方で今日の試合、というよりこのシリーズ全体に言えるかもしれませんが、選手もしくは監督などによる
ミスまでもが、ゲームの構成要素として欠かせないものになりつつあります。今日の試合フィリーズに
ついていえば、やはり7回表、1アウト3塁でモイヤーが降板した後、フィリーズは全身守備を敷かず、
ショートゴロで1点を与えてしまいました。それが8回表のB.J・アップトンの足による揺さぶりなどで
同点になるきっかけをつくりました。また、8回裏、盗塁で2塁に進んだジェイソン・ワースは、一瞬の隙を
突かれて牽制球で刺されました。

まぁこのときのチャド・ブラッドフォードの見事な牽制が、結果的には9回裏のフィリーズの逆転劇に
繋がったとも言えますが、そこに至るのに、グラント・バルフォーのワイルドピッチがあったことも
忘れてはいけません。あれがなければ、2敬遠と5人内野、そしてカルロス・ルイスのボテボテな3塁線への
ゴロも生まれなかったし、エヴァン・ロンゴリアもあんな場面で目立つことはありませんでした。

でも、例えば2006年ワールドシリーズのタイガースみたく、どれも目も当てられないミスというよりは、
大舞台と毎日の接戦が生む緊張感の中から生まれる一瞬のスキであったりするので、ミスをした選手を
慰める意味はありませんが、ひとつのミスすら素晴らしいシリーズを作り上げるのに必須なものとすら
感じてしまいます。

逆に、短期決戦、全国放送される唯一のメジャーリーグの試合にあって、不調な選手はいやおうがなく
目立ってしまいます。ロンゴリアとカルロス・ペーニャは今日も打てませんでした。ロンゴリアは6回表に
モイヤーからどでかいレフトフライを打ちましたが、その裏にチェース・アトリーと、ライアン・ハワードの
2連発を見てしまうと、でかかろうが小さかろうがフライはフライ、ロンゴリアはヒットが出ないんだな、
と思わされます。一方フィリーズでは、ついにジミー・ロリンズのコンパクトなバッティングが戻りました。
いつも陽気だけど、塁に出れば煩いロリンズに当たりが出るとフィリーズ全体に勢いが出てきます。
逆にフィリーズではひとり、パット・バレルの不調が目立ちだしました。初回もいきなり初球を叩き、
平凡なフライを打ち上げたのも、焦りから来ているものでしょう。

まだまだ雨続きの選手もいますが、今日の試合に限っては、雨が止むのを91分待っただけの試合だったと
思います。終盤に目をパッチリ開けた子供がテレビに映りましたが、おそらくあの子が深夜2時近くまで寝ないで
いられたのは、モイヤーのワールドシリーズ出場と同じ、生まれて初めてじゃないでしょうか。
しかし、残念ながら接戦続きの今回のシリーズは、アメリカ国内の視聴率が相当低いらしいです。
本当にもったいないことです。ワールドシリーズの素晴らしさに、もう一度目を覚ましてほしいです。


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