この記事についての意見:
DeNAが横浜ベイスターズの経営権を買うことと、理想的な買収戦略とは何か、という質問に何の関連性があるのか全くわかりません。TBSが赤字のベイスターズを手放したいと言ったところ、DeNAが買いたいと言った、それだけです。もちろんDeNAにはいろんな考えがあるでしょうし、個人的にもいろいろと言いたいことがありますが、ここでは省略して「理想的な買収戦略」という部分にだけ特化させたいと思います。
といいながらも、「理想的な買収戦略」なるものは存在しないと思います。強いて言えば、売主の企業(もしくはその債権者など)が「理想的」な金額と条件で買収してくれる買い手を探し、一方で事業拡大を目指す企業が「理想的な」物件を探し求めて見つける、その両方が合致した時が「理想的な買収」です。当たり前のことですが売主と買主が存在しない限り買収は存在しませんし、買主も(買収戦略ではなく)経営戦略を発揮できません。
また、買収で重要なのは通り一辺倒な戦略ではなく、その時々に応じた交渉だと思います。TBSは昨秋もベイスターズの売却を考えていて、住生活グループが名乗りを上げました。しかし金額面や住生活グループがチームを新潟へ移すのではないかという噂が出て、TBSが売却を拒んだようで、結局もう1年間赤字球団を持たざるをえない状態になりました。TBSは去年手放してもよかったのですが、自らの意思でそうしなかったのは、買主に条件を求めすぎたからだと思います。
ただ、もし買収に戦略性を求めたいのであれば、グーグルのように明確な「経営戦略」での買収か、アルセロール・ミタルのようにあからさまな敵対的買収を仕掛ければいいのです。特に後者の場合は、被買収会社の経営陣の同意以上に、その債権者や株主を説得させるという戦略がより重要になりますが、いずれも「経営戦略」が重要ではないでしょうか(TBSがマルハからベイスターズを買ったときにはそれがなかったと思います)。
どうも日本人は「会社は誰のものか?」やここでの問題のように、経営の問題について絶対的な答えを求めすぎているように感じます。それは戦後の日本企業のほとんどが年功序列や終身雇用、ケイレツやシャンシャン総会などという、ある程度決まった会社「制度」や「やり方」に乗っかれば自然と発展を遂げることができた反面、そうした常識が通用しなくなったことへの不安と恐れが立ち込めているからでしょう。過去の事例や様々な理論を参考にすることは間違いではありませんが、ひとつの偏った理想に頼って会社経営を展開して、それがうまくいくのであれば、今頃企業が円高で四苦八苦することもないし、オリンパスがM&Aのコンサルタント料として、前社長がいうところの法外な金額を支払うこともなかったはずです。むしろ、個々の事情や状況に即して考える力を養い発揮することが、理想的な買収戦略もしくは経営戦略ではないかと思います。
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