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[短評]World "Wide" Web

2010-04-24 23:28:47 | マネー&ポリティックス
Facebook's bid to rule the web as it goes social (BBC news)

日本以外の国でSNSといえばFacebookとほぼ同義語といえる時代になりました。今やアメリカ合衆国の
人口よりも多くの人がアクティブ・ユーザとして登録している世界最大のソーシャルネットワークは、
まるで地球の中にもうひとつの地球を作ってしまったといっても過言ではありません。

しかし、創業者のマーク・ザッカーバーグ氏とFacebookにとっては今はゴールではない模様です。
サンフランシスコのF8カンファレンスにおいて、ザッカーバーグ氏は、

"We are building toward a web where the default is social"

と話し、SNS(つまりFacebook)での個々人どうしの繋がりもしくは交わりをウェブ社会の中心に
据えることこそが目標なのだとしました。それを目指すために、この会見においてFacebook上での
いろいろな新サービスが発表されました。

現在のウェブ世界は、誰もが見てもわかるようにGoogleの支配下です。Facebookはそれに対抗して
いこうというわけです。Googleが作ってきたウェブの世界は、どちらかというとGoogleが利用者より
上に立っている、いわば"by Google"的社会だと思います。一方でFacebookは個々人が自らの嗜好に
合う情報のやりとりの仲立ちをする、いわば"by way of Facebook"なウェブ世界を作りたいのだと
感じます。ザッカーバーグ氏は、

"People are discovering information not just through links to web pages but also
from the people and the things they care about."


とこの発表ないで話していますが、前者がGoogleであり後者がFacebookです。

一方で個々人がその好みによりつながりを求めるには、それだけ個人のことをさらけ出す必要が
あります。Facebookでは日本の同種のサイトでは聞かれない結構細かいことまでをプロフィール欄に
記入できます・・・っていうかさせられます(本当に基本的なところ以外は必須項目ではないけれども)。
そうなると個人の特定ができる、とまではいかなくとも、ハフィントン・ポストの方が話すように、
匿名性が薄くなる可能性があります。

One of the points Mr Zuckerberg was making was that the web has become a lot less
anonymous and Facebook is definitely positioning itself as wanting to be the owner of
that information


Facebookとしては、そうした情報を元にターゲット広告を出したりし、収益を上げていきたいのです。
もちろんそうしたターゲット広告はGoogleでもやっていることですが、Googleの広告はGoogleにしか
見せていないのも同然なのとは違い、Facebookでは自らで自らをウェブ社会にさらけ出す(と言っても
いいのかな?)その点において違いがあると思います。

インターネットの登場により個人が世界とつながったという声はいやという程聞かされた感じが
ありますが、それでも掲示板やチャット経由のものであり、顔の見えやすさではイマイチなところが
あったのではないでしょうか。それがFacebookのようなSNSの登場により顔が見えやすい形で
個々人が繋がりを持つことができるようになりました。そしてFacebookが今後目指すウェブ社会とは、
もしかしたら今よりも太い"web"で繋がったものなのかもしれません。

一方で個人が広い世界で自らをさらすようになることの心配事があるのも事実です。別のインターネットの
評論家がこのようなことを話しています。

"The whole idea to socialise the whole web is fairly impressive, audacious and a bit scary.
I am very scared about the privacy issues around this initiative. They haven't really been
very clear as to how consumers will have more control over the things they do on the web."


Facebookはこれまでプライバシー問題ではよく槍玉に上げられることがあり、ドイツの消費者関連の
機関によれば、Facebookの安全性は最悪だと言う結果も出されたほどです。

それでも、Facebookは人々のウェブ社会での繋がりを手助けとなり、今の地球よりも大きな地球を
作るために走り続けていくように思います。それはウェブ技術よりもずっと原始的な理由、多くの人が
だれかと何らかの形で繋がっていたいという欲求を持っているからです。
facebook
ベン・メズリック
青志社

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