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[経済短評]食糧価格危機の前夜

2010-12-31 22:24:30 | マネー&ポリティックス
Higher Food Prices Loom in 2011 (VOA.com)

年末年始はいろんなところでいろいろな料理を食べることができるシーズンでもあります。
この冬は夏の猛暑と正月寒波により生鮮食品の値段が高値安定してしまっていると
言われています。

しかし、来たるべき年は更なる食糧価格の上昇が見込まれているとされています。
いわゆる異常気象がその要因のひとつだと考えられています。現在も小麦の生産地、
オーストラリア南部が大規模な洪水に見舞われていますが、昨年夏のロシアでの猛暑と
それによりロシア政府の小麦輸出制限はじわじわと響いてくることでしょう。
異常気象(それは決して温暖化だけを指すわけではないけど)は自分の生活には
全く関係ないという声もありますが、必ずどこかで繋がってるのです。

少し前にTIME誌でアフリカの農業についての特集記事がありました。多くの諸国では、
農業だけが国内経済の中心を担っていますが、アメリカ政府によると、異常気象により
生産性の低下が起こり、それが政情不安の要因となる確率が高いと見ているようです。

しかし、気象状況が異常であるにしろ、正常であるにしろ(「正常な」気象状況という
ものがどんなものかはわかりませんが)かつての食糧問題は空だけを見ていればそれで
十分でした。しかし今は違います。食糧問題はやっかいな方向に歩みだしています。

その傾向が変わったのが2008年の代替燃料ブームから発した穀物価格の上昇です。
天候は人間が全てをコントロールをできるものではありませんが、市場価格はその全てが
人間のコントロールの下で決定されるといっても過言ではありません。特に単純な需要と
供給だけで決まっていた穀物価格に、投機性が加わったことにより、穀物市場はかつてと
比べ物にならないくらいの不安定さを見せています。

そしてやはり、投機家は政情不安を価格上昇の理由付けにします。それによりさらに
価格は不安定なものになります。一方で異常気象が止まらないと、投機をあおる要因に
もってこいです。それらがめぐりめぐって日本の食卓にも少なからず影響を与えます。

もはや食糧問題は一国の自給率がどうとかいう問題ではない、環境問題を超えて、
地域政治や国際経済を巻き込んだ国際問題として捉えられるべき時期に来たのかも
しれません。


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