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[短評]表層報道

2006-01-29 10:59:38 | マネー&ポリティックス
“ホリエモン”持ち上げたメディア、責任問う声も (読売新聞) - goo ニュース
防戦一方いら立つ首相 激しいメディア批判も (共同通信) - goo ニュース
1月27日付・読売社説「[ライブドア]「メディア批判と『不明』は別の問題」 - goo ニュース


15年前には「インターネット業界」というものはこの世に存在していないか、存在していたとしても、
目立たない、今風に言えばオタクくさい産業であったことでしょう。しかし、今ではインターネットが
大いに幅を利かせている時代です。

確かに、インターネットの発達は社会のいろいろな面を変えたこと、今でも、そしてこれからも
変え続けていくことは事実です。しかしながら、同時にインターネットは万能だとか、IT業界はこれまでの
既存業界とは一線を画すどころか、全くの異次元だという印象があるのではないかとも思います。

ライブドアは、その印象からうまみだけを引き出しました。日本のポータルサイト最後発だったこの会社は、
違法合法を問わず、買収をしまくることで拡大する道を選びました。その一方で本来の業務だったはずの
ポータルサイトでは、ページビューの面ではいぜんとしてヤフーやMSNなどとの差が大きく、
同時に何か格になるサービス、技術を持っているかといえば、それも疑わしいことはわかりきっていました。
その結果が、ポータルサイト関連の売り上げが会社全体の1割程度しかないことに、今頃になって、
一般国民はもちろん、夕刊フジからみのもんた、さらに言えばライブドアの一般株主が驚いたのです。

しかし、プロ野球のときやニッポン放送のときには、そんなことを忘れたのか、又はそれに対して目をつぶったのか、
ライブドアはすごい会社だという印象が広まりました。これは、IT業界だから、若い経営者だからとにかく買収して
会社を大きくする手法があってもおかしくないのだといわんばかりの風潮でした。いろいろなことを変革させた
インターネットが、いつの間にか、何でもしてもいいという免罪符に摩り替えられたようです。

今回、首相が「マスコミだってライブドアを時代の寵児に仕立て上げたのだから責任があるじゃん」と逆ギレしました。
一部ではこの発言に対して、更なる逆ギレを起こしている人たちもいるようですが、これもまた正解でしょう。
そもそも、日本の一般的なマスコミはインターネットそのもの、インターネット業界について、本当に知識があるのか、
かなり疑わしい面があります。他の産業であれば、本業を見て判断するはずなのに、なぜかインターネット業界では、
時価総額や収益などの帳簿、もしくは社長がどれだけテレビに出るか、クイズ番組でどれだけ正解するか、
それらでしか判断していなかったのではないでしょうか。だから、先ごろ決算発表したヤフーは、「うちはあくまでも
インターネットにこだわる」という、いまさら分かりきったことを発表せざるを得ないのです。


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