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アスベスト問題と企業の社会的責任

2005-07-01 17:00:00 | マネー&ポリティックス
クボタ工場、石綿原因?26年間で79人死亡 (読売新聞) - goo ニュース
クボタ好業績に水差す恐れ アスベスト被害で株価下げ (共同通信) - goo ニュース
石綿病の発症急増に備えよ(日本経済新聞 7/1)


企業の不祥事は後を絶ちません。橋梁発注の談合事件、JR西日本、三菱地所が開発したマンションの
土地汚染隠しなどなど。事故はいろいろな因果関係で起きるものですが、事件はどちらかといえば起こすもの。
わかっていても不祥事を起こし、最終的に痛い目を見るのは不祥事を起こした企業となります。
いや、そうならなければならないのです。

昨日の朝刊やテレビニュースから報道されているように、クボタが尼崎市内にあった製造工場の
従業員及び周辺住民のうち、材料のアスベストが原因による「中皮腫」というガンによる患者が
多数発生しかつ死亡者もいることを発表しました。この問題でクボタがここ最近の不祥事企業とは
違う対応を行ったことに注目すべきでしょう。

クボタは「因果関係は不明だが社会的責任を明確にする」ために、旧工場周辺住民の3名に見舞金を支払い、
死亡者へは弔慰金を検討していると、同時に発表した点です。証拠を隠蔽したり「弊社に非はない」と
強気で主張する不祥事企業が多い中、環境問題を扱う大企業としては「当然の帰結」(日経新聞)かも
しれませんが、被害者に対して誠意のある対応を行ったことは評価すべきでしょう。日曜日の朝の番組で
おなじみの竹村健一氏はよく「日本のマスコミは非難はするが誉めるのはヘタ」といいますが、評価すべき点を
見落とし価値だと思います。もしかしてボーリング大会の予定でも探しているのでしょうか。

クボタは数多くのSRIファンドにも組み込まれている会社でありますが(SRIファンド構成企業が大企業と
同意義だという声もあるけれども)、それらのファンドマネージャーの中でも一連の行動に対しては
評価する声もあります(7月1日 日経新聞)。6月30日のクボタ株は一種の不透明感から大きく下げましたが、
今日は12円高の620円。一部アナリストの間では業績自体は堅調なので今回の一軒は予想するほどの
悪影響はないと見ているようで、年初来高値を更新していた中で大きく下げたところを拾った買いが
集まったものと思われます。

ただひとつ疑問、またはクボタも恐らく入念に練ったと思われる点は、株主総会より前にこの問題を
発表しなかったことでしょう(ちなみに自分は過去及び現在においてクボタの株主ではないことを
申しておきます)。

それはともかく、こうした現状を踏まえた上で、今後は各紙が言うように、アスベストの使用を
事実上認めつづけていた政府と、それを材料などとして利用してきた企業が一体となった対策が
必要なのだと思います。

経営者と従業員の構成体である会社は個人のように人格(法人格)が擬制されているものとされます。
会社も「人」であるので何らかの事故を起こしたり過去は問題ないものとされていても、後々問題が
発生することもあります。そうした問題が発生した際にいかに立ち向かい取り組むのかで「いい会社」という
漠然すぎる問題の答えが見えてくると思います。今回のアスベスト問題はまだ緒についたばかりですが、
クボタは第一歩目としてはいい行動を選んだというべきでしょう。

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