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[MLB短評]ストラスバーグを抑える方法

2010-06-29 00:00:00 | MLB
Even in defeat, Nationals' Strasburg continues to amaze(Washington Post)
Three things we still need to learn about Stephen Strasburg(SI.com)
A challenge for Stephen Strasburg, and the Nationals(Washington Post)


明日(現地時間6月28日)、スティーブン・ストラスバーグがメジャー5回目の先発をします。
デビュー当時の異常なほどの大騒ぎは鳴りを潜めているとはいえ、まだまだストラスバーグを
見る視線は相当熱いものがあります。

ストラスバーグの素晴らしさは、速球と変化球のコンビネーションと、それが作り出す三振また
三振の山であるのでしょうが、同時に四球が驚くほど少ない点もあります。過去の先発でも、
1試合を除き無四球です。四球を出した1試合(デビュー第2戦の@インディアンズ戦)では、
マウンドで脚を踏み出したところが緩かったため、足元で踏ん張り切れない点が原因だったと
言えます。その試合を除けば、今のストラスバーグは自ら崩れることはまず考えられないと
相手チームは考えるべきでしょう。ストラスバーグがデビュー戦で戦ったパイレーツは、できるだけ
ストラスバーグの投球数を増やそうと考えましたが、そうしている間に3回ストライクを奪われる
だけでした。

しかし、残念ながらストラスバーグは地元で先発した過去2戦では、いい投球をしながらも、
勝ちに結びつかず、前回のロイヤルズ戦では、1失点で負け投手になりました。ロイヤルズは、
メジャーでも上位の打率(現時点では2位の.281)ですが、そのロイヤルズを1失点で抑えたのは
よかったではないかと、ジョー・リグルマン監督は評しています。一方でロイヤルズの先発だった
ブライアン・バニスターとその後のリリーフ陣は貧打のナショナルズ打線を無得点黙らせました。
この試合を終えて、バニスターは今シーズン7勝5敗ながらも、防御率は5点台を超えています。

また、ナショナルズはその前のストラスバーグの先発試合にして、オバマ大統領が観戦に来た
ホワイトソックス戦でも、防御率5点台のギャビン・フロイド相手に1点を取るのがやっとでした
(対するストラスバーグは初回に1失点されて以降7回に降板するまで無失点を続けていた)。
フロイドはその前の試合で、カブスのテッド・リリー相手にお互いノーヒットに迫る好投をしていたので、
その流れでこの試合に来た、というところもあったのかもしれません。

しかし、この2試合から言えることは、ストラスバーグに勝つには、ストラスバーグを打ち崩す、あるいは
ストラスバーグが自ら崩れるのを待っていてはいけない、ということです。これまでの試合を見て
わかるとおり、マウンドに問題がなければ、ストラスバーグは相手にせいぜい1点か2点ぐらいしか
与えることはありません。それどころか、四球を与えることもないので、塁上でストラスバーグに対して
焦らせることができないのです。

そうなると、自分のチームの先発がストラスバーグ以上の投球をして、ストラスバーグから何とか
搾り出した1点、あるいはストラスバーグ以降の投手から奪い取った得点を守り切るしかないのです。
今後彼の投球内容が分析されつくされるのでしょうが、相手チームがストラスバーグに勝つには、
今のところこれしかないです。幸い、ナショナルズの打線はメジャー全体でも20位前後なので、
ストラスバーグの好投を相殺するに十分なほどの爆発力のない打線です。

しかし、どれだけ相手チームがストラスバーグを研究しようとしても、非常に真面目なストラスバーグは
その成長を止めることはないでしょう。トーマス・ボズウェルがロイヤルズ戦で負けた後にあった
エピソードを紹介しています。

Strasburg also impresses his mates with his sense of baseball appropriateness.
Asked for his reaction to a report that his rookie baseball card was going on eBay for $101,000,
Strasburg literally winced and said: "Let's focus on the game. It was a tough loss for us."


そう、ストラスバーグは(勝負師なら当たり前ですが)1失点ですら納得がいかないのです。ましてや
自分のチームが打ってくれないからといって暴れることはしません。自分が相手を抑えることが
勝利へ繋がるのだと、既に強い考えを持っているように感じます。そうなると、ますますストラスバーグを
打ち崩すなんてことは無理な話になります。そして、相手の投手は余計にストラスバーグを上回る
投球をしなければなりません。

4回のノーヒッターと1回の幻の完全試合などに代表されるように、今年は「投高打低」のシーズンだと
言われています。その一番の理由は、「ポスト-ステロイド時代」に入り打者の力が衰えたからだという
意見が通説になりつつあります。でも、ストラスバーグの出現は、今ですらこれだけ騒がれているので、
ステロイド時代であっても驚異的かつ目立つ存在だったと思われます。と同時に、ストラスバーグの
好投が続くことにより、投手有利の時代を今後数年間さらに加速しかねないほどのインパクトを
持っていることを、たった1ヶ月で学んだように感じます。


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