そのさきへ -Deep Sky Blue version-

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「私。恋した」(恐らくネタバレ)

2007-06-10 23:20:08 | 堀北真希ちゃん
土曜日に「私。恋した」を観てきました。

簡単に言ってしまえば、17歳の「なぎさ」が余命3か月を宣告され、幼馴染の「聡」が住む海沿いの町へ行く、
というお話です。しかし「余命3か月」を直接的に表現するシーンはほとんどありません。むしろ、3年ぶりに
「なぎさ」と「聡」が会うシーンで、「どうして突然訪ねてきたの?」という聡の問いに対して、

「来年は受験で忙しい」

という趣旨のことを答えます。もちろんこんなところで「余命3か月だから」なんて答える人なんてふつういませんが、
廃品回収を生業とし、取り壊されそうになった立派な一軒家にひとりで住む聡が話すことは、なぜか死を
意識させるものばかり。なぎさが神社で猫が死ぬところに遭遇したことを話したからかもしれないけど、
聡はそこから話を広げ、「猫は本来人に知られることなく死ぬらしい」とか「死んだ猫を埋めに行こう」などと
話をしていきます。おまけに、夕食を食べながらの会話は、前の年に死んだなぎさの母親のこと。こうした中で、
なぎさは余計に本当のことを言い出せなかったのだと思います。

一方で久しぶりに会った聡の優しさに触れたなぎさは、聡の仕事に帯同しますが、その最中、聡が子持ちの人妻と
不倫をしていることを見てしまいました。この人妻と「結婚をするつもり」と答えた聡に対して「いいんじゃない」と
答えるなぎさですが、同時に一人娘のことが気になります。「父親と3人でいるのが本当は楽しい」という
この女の子を連れて、なぎさは思い切ったことをして周囲を心配に陥れます(それが何かは映画で)。

実は、なぎさは不倫をするような聡に幻滅していたわけで、ついには口論をします。でもこのときにも、
なぎさは聡への恋心を前面に出すわけでもなく、死が近いことももちろん言うこともなく、しかし今だからこそ
何かを伝えておかなければという必死さがあったように思えます。

そして、なぎさが帰る日、バスに乗る2人。聡は、なぎさが子供の頃バスガイドになりたかったことを
思い出します。なぎさは乗客2人しかいないバスでバスガイドの真似を始めます。なぎさは時に涙を堪えながら、
海岸であったり、自分が通った学校について紹介します。その中で、なぎさは自分が引っ越してこの町を
離れるときに、今バスが走る道を通ったことを話します。そのときになぎさが悟ったこと、それは、

「自分の力だけでは変えられないことがあることを知った」

というものでした。正しく今、なぎさが置かれている状況でもあります。もしかしたら、聡はこのときに
なぎさが今置かれている状況、ひいてはなぎさが伝えたいことを悟ったように感じました。同時になぎさも
このときに伝えたいこと全てを伝えきったからか、最後にオイオイと号泣するわけでもなく、むしろ自分の
やりたかったことをやった!というものが残ったように思えます。でも、なぎさは本当に言いたかった言葉を
最後まで直接伝えることはできませんでした。そこは非常に切ないのです。


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