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[MLB短評]成長無き大人

2009-09-22 10:08:27 | MLB
Cubs suspend Bradley for rest of season (MLB.com)
Bradley's unhappiness a mystery to Cubs (MLB.com)


シカゴ・カブスのミルトン・ブラッドリーは今年、比較的静かなシーズンを過ごしていましたが、
ここにきてこの選手の本性が出てしまいました。8月下旬でしたか、「カブスのファンは自分に
対して冷たい」とコメントしました。2割5分前後しか打つことができない、おまけに気性が荒い
選手に対してブーイングがなされても当然です。しかし昨シーズン、レンジャーズで.321を打った
ブラッドリーは、今年の不振はシカゴのファンのせいだと言い放ったのです。

おまけに、先ごろとある新聞のインタビューに対して、カブス1年目を全く楽しむことができない、
多くの人がただ他人を叩くために存在していて、それがマイナスな空気を生み、カブスが100年
優勝できない原因なんだ、と話しました。まぁなんと素晴らしい分析なこと!こういうコメントは、
次々とチームを渡り歩かされているブラッドリーだからこそできるコメントだと思います。

しかしブラッドリーには1つ気づいていない点があります。今のカブスにとって最もマイナスな
要素なのは、ブラッドリーそのものだったのです。残念ながらカブスはブラッドリーと昨オフに
そのことを気づいておくべきでした。もはやプレイオフとは全く関係ない位置にいる今となり、
ジム・ヘンドリーGMはブラッドリーを今シーズンの残り出場停止としました。ヘンドリーは、
昨年のオフにプレイするチームを求めていたブラッドリーと会食し、「カブスに入りたい」と
アピールしたそうです。ヘンドリーもそれを真に受けてしまったのが運の尽きでしょう。

ブラッドリーは才能ある選手だと思いますが、それを覆い隠すほどのムラッ気のある成績ゆえ、
どのチームに移っても、翌年には違うユニフォームを着ていることが当たり前の選手です。
おまけにファンに対しても攻撃的な態度を取ることもあり、野次ったファンを駐車場で追い回す
ほどの元気がある選手です。それだけのパワーを打席でもっと発揮すれば、ファンは野次らないと
思うのですが。今回のカブスに対するネガティブ発言も、ファンを敵に回したことは間違いありません。

ブラッドリーへの処分は不思議ではないのですが、興味深いのは、カブスのほかの選手は今回の
処分に至ったブラッドリーの考え方に不思議さを持っている点です。リード・ジョンソンが、かつて
カブスに所属したことがあるエリック・キャロスやジェイソン・ケンドールの言葉を借りて、長年メジャーで
プレイするならば、1年はカブスで過ごすべきだ、絶対にシカゴとこのチームを気に入るはずだ、
と話しているのが特に印象的です。確かに、カブスに入ることは、1世紀近く積もり積もった優勝への
期待とプレッシャー、そして大都市特有の厳しい視線を浴びることを意味します。しかしそれ以上に、
人気と知名度、そして伝統あるチームとスタジアムでプレイできることは栄誉なことでもあります。

自分のことしか考えることができないブラッドリーは、期待やプレッシャーにも対応できず、カブスでの
プレイを楽しむことができなかったのでしょう。だからといって、自分のやりたいようにできるチーム
なんてどこにあるのでしょう?恐らく今のブラッドリーは、仮にあと10年カブスでプレイする機会が
あったとしても、その価値の高さを知ることはできないはずです。カブスとの契約は残っているとはいえ、
来年ブラッドリーがどこでプレイするかはわかりません。今シーズンはもう打席に立ち、マウンドからの
ボールを見ることがないブラッドリーに対して、ライアン・デンプスターからのありがたいコメントを
差し上げましょう。

Rather than blame the fans or the media or the Cubs,
Milton Bradley needs to look in the mirror


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