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[経済短評]China as No.1?

2011-04-15 07:20:58 | マネー&ポリティックス
スペイン首相:訪中の主目的は中国の投資をさらに呼び込むこと (ブルームバーグ)
スペイン首相:中国はスペイン国債の主な長期的投資家 (ブルームバーグ)
中国はスペインへの投資に依然関心ある=スペイン政府筋 (ロイター)


4月13日(ブルームバーグ):スペインのサパテロ首相は、中国訪問の主目的は同国からさらなる投資を呼び込むことだと語った。
同首相は13日に訪問先の北京で、中国はスペイン国債の「主要な長期投資家」となっており、スペインによる債務返済を支援したと指摘。
中国がスペイン国債の12%強を購入したと述べた。


たったの3行の記事ではありますが、これほど現在の世界の変化を表している記事もまたないと思います。日本が震災後の様々な
余震で揺れ動いているさなか、中国は名実ともにアジアでトップの国になろうとしています。

かつて欧米の首脳が中国を訪れたときは、その目的は中国にうちの国の製品を買って欲しい、あるいはうちの国の会社の工場を
ぜひ設置させて欲しい、中国でビジネスをさせて欲しい、というものでした。その姿は19世紀から20世紀にかけての列強による
弱体化していた清王朝への進出に似たものでした。

しかし、今となってはその立場が逆転しました。中国はもう弱い国ではないどころか、欧米とくに債務問題に悩むヨーロッパ諸国は
中国より弱い立場になっています。昨年はじめからくすぶっている債務危機において、金余りでかつ加熱する国内投資の抑制を狙う
中国の資金がギリシャやスペインなどへ流れています。こうした国は、中国が投資をしてくれないとなりたたなくなっているのです。
それ以外にも中国企業が海外の企業、それもいわゆる老舗ブランドと言われているものにまで、その投資先を広げようとしています。
その中で、スペインのサパテロ首相は中国まで来て、かつてのように投資をさせてもらうのはなく、投資をしてもらうよう頭を下げに
はるばる来たのです。

これはバブル期の日本ではありえなかったことです。むしろ日本が次々と海外資産を「買い漁る」姿がネガティブに見られました。
あの当時には、ヨーロッパ諸国では債務危機なんていうことが起こっていなかったし、起こるとも考えていなかったこともあるでしょう。
一方でその国の象徴とも言えるものを大金で買ってしまう姿が、文化的な侵略にすら受け取られ、必ずしも日本の地位を高める
行為ではありませんでした。それがじゃバンバッシングにつながりました。

しかし今の世界経済を見ると、中国をはじめとした新興国の好調さと、いわゆるPIGSの弱体化という二極化がはっきりしています。
それならば、債務危機の国はお金のある国の助け舟に乗らないわけにはいかないと考えて不思議でもありません。人権問題や、
政治体制への疑問もありながらも、そうした国にはチャイナバッシングをしている余裕がないほど存続の危機に立たされています。
それだけ中国の力がミクロ経済だけでなくマクロ経済的にも強くなってきたのです。

ここまで見ると、翻って日本は、という話になります。経済力は明らかに落ちており、自慢の糧だった技術力の高さはこの1ヶ月で
完全に地に堕ちました。世界各国は日本へ救援物資や資金を送ることはあっても、いつまでも哀れみの視線で見守るわけでなく、
「日本、何それ?」という存在になりつつあります。それは地震があったからそうなったのではなく、地震前から多くの予兆が
あったことです。日本は初めて現実を付きつけられた、いやもしかしたらその現実にまだ気づいてもいないのかもしれません。
そもそも、こうしたニュースが日本でどれだけ報道されているのかがわからないのです。


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