
思い上がりと破滅の悲劇 リーマン破綻――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
AIG救済でも晴れない米金融不安、欧米市場の動向待ち(トムソンロイター) - goo ニュース
Wall Street's Unraveling(Washington Post)
9月に入ったアメリカは、2つのハリケーンに警戒をしなければなりませんでした。最初は「グスタフ」続いて
「アイク」です。「グスタフ」はあのニューオリンズを直撃するのではないかと言われ、「カトリーナ」と違い、
市民は早々に避難をするように言われました。幸いにも「グスタフ」は弱い勢力でアメリカ本土へ上陸し、
想定していたほどの被害は出ませんでした。
一方の「アイク」はテキサスへ上陸すると予報されていたときから勢力を増し、避難勧告は当たり前のこと、
「避難をしなければ死を覚悟せよ」という、脅し文句まで出ました。実際テキサス州南部は「アイク」の
大被害から立ち直ろうとしています。
しかし、この2つのハリケーンの話題が去った後、ニューヨークで巨大なハリケーンが一気に3つ発生しました。
メリルリンチ、AIG、そしてリーマンブラザーズです。いまやニューヨークからロンドン、六本木ヒルズに
至るまで、その大被害からの修復に必死になっています。「グスタフ」や「アイク」に対しては、
ある程度の予報も立てることができ、それへの対抗策も打ち出すことができました。一方で「メリル」や
「リーマン」に対しては、ハリケーンシーズンが来るずっと前から、来る!来る!と予想はできていましたが、
残念ながら、対抗策は全くありませんでした。「カトリーナ」のときに手も足も出せなかったブッシュ政権は、
今回の経済混乱でも、せいぜい行ったのは春先の減税と、「ファニーメイ」と「フレディマック」の救済が
精一杯だったのです。このような事態になるはるか前から「日本の90年代後半の不良債権問題を
反面教師にする」といいながらも、ブッシュ政権は何もできなかったのです。
「メリル」に対しては、幸運なことに「バンク・オブ・アメリカ」が買収を申し出て、事なきを得ましたが、
「リーマン」は完全に見放され、そして政府も見放しました。正に「死を覚悟」していただく格好です。
M&A仲介でも名を馳せた「リーマン」でしたが、自らの身売りに対してはなすすべもない、なんとも皮肉な
結果になりました。これを見て慌てたアメリカ政府は、「AIG」に対して救済措置を行い、AIGを実質的な
国有化に近い形にしました。「リーマン」は完全に踏み台にされたのです。一方で、アメリカ政府はなぜ
「リーマン」は捨て「AIG」は助けるに至ったのかの説明を求められる、もしくは自分たちで納得する
答えを出さなければならないでしょう。
ブッシュ政権の末期は、サブプライム問題が大きくなる前から、いかにして不動産バブルや経済の失速を
「ソフトランディング」にさせるか、が大きな課題でした。しかし、そのブッシュ政権が経済問題全てを
「ハードランディング」させた格好です。いや、「着陸」どころか「墜落」です。アメリカが広めた
デカップリング論ははるか昔のこと、せっかく原油価格が下がっても、それ以前に購買意欲が沸きません
(もしラマダン中でなかったならば、シティバンクのようにオイルマネーがリーマン買収に名乗り出た
かもしれませんが)。世界は、「グローバル経済」とは結局のところ、アメリカ中心、それもほんの一部の
金融機関中心の経済だったんだと、改めて知らされたのです。
そして、世界の経済市場は、超巨大ハリケーンで受けた水浸しの被害から復旧の手立てを探し出せないまま、
次に来るかもしれないハリケーンに備え続けなければなりません。
AIG救済でも晴れない米金融不安、欧米市場の動向待ち(トムソンロイター) - goo ニュース
Wall Street's Unraveling(Washington Post)
9月に入ったアメリカは、2つのハリケーンに警戒をしなければなりませんでした。最初は「グスタフ」続いて
「アイク」です。「グスタフ」はあのニューオリンズを直撃するのではないかと言われ、「カトリーナ」と違い、
市民は早々に避難をするように言われました。幸いにも「グスタフ」は弱い勢力でアメリカ本土へ上陸し、
想定していたほどの被害は出ませんでした。
一方の「アイク」はテキサスへ上陸すると予報されていたときから勢力を増し、避難勧告は当たり前のこと、
「避難をしなければ死を覚悟せよ」という、脅し文句まで出ました。実際テキサス州南部は「アイク」の
大被害から立ち直ろうとしています。
しかし、この2つのハリケーンの話題が去った後、ニューヨークで巨大なハリケーンが一気に3つ発生しました。
メリルリンチ、AIG、そしてリーマンブラザーズです。いまやニューヨークからロンドン、六本木ヒルズに
至るまで、その大被害からの修復に必死になっています。「グスタフ」や「アイク」に対しては、
ある程度の予報も立てることができ、それへの対抗策も打ち出すことができました。一方で「メリル」や
「リーマン」に対しては、ハリケーンシーズンが来るずっと前から、来る!来る!と予想はできていましたが、
残念ながら、対抗策は全くありませんでした。「カトリーナ」のときに手も足も出せなかったブッシュ政権は、
今回の経済混乱でも、せいぜい行ったのは春先の減税と、「ファニーメイ」と「フレディマック」の救済が
精一杯だったのです。このような事態になるはるか前から「日本の90年代後半の不良債権問題を
反面教師にする」といいながらも、ブッシュ政権は何もできなかったのです。
「メリル」に対しては、幸運なことに「バンク・オブ・アメリカ」が買収を申し出て、事なきを得ましたが、
「リーマン」は完全に見放され、そして政府も見放しました。正に「死を覚悟」していただく格好です。
M&A仲介でも名を馳せた「リーマン」でしたが、自らの身売りに対してはなすすべもない、なんとも皮肉な
結果になりました。これを見て慌てたアメリカ政府は、「AIG」に対して救済措置を行い、AIGを実質的な
国有化に近い形にしました。「リーマン」は完全に踏み台にされたのです。一方で、アメリカ政府はなぜ
「リーマン」は捨て「AIG」は助けるに至ったのかの説明を求められる、もしくは自分たちで納得する
答えを出さなければならないでしょう。
ブッシュ政権の末期は、サブプライム問題が大きくなる前から、いかにして不動産バブルや経済の失速を
「ソフトランディング」にさせるか、が大きな課題でした。しかし、そのブッシュ政権が経済問題全てを
「ハードランディング」させた格好です。いや、「着陸」どころか「墜落」です。アメリカが広めた
デカップリング論ははるか昔のこと、せっかく原油価格が下がっても、それ以前に購買意欲が沸きません
(もしラマダン中でなかったならば、シティバンクのようにオイルマネーがリーマン買収に名乗り出た
かもしれませんが)。世界は、「グローバル経済」とは結局のところ、アメリカ中心、それもほんの一部の
金融機関中心の経済だったんだと、改めて知らされたのです。
そして、世界の経済市場は、超巨大ハリケーンで受けた水浸しの被害から復旧の手立てを探し出せないまま、
次に来るかもしれないハリケーンに備え続けなければなりません。