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[経済短評]守りになれない、守ってくれない電鉄株

2009-03-05 07:06:20 | マネー&ポリティックス
電鉄株にも景気悪化の波、ディフェンシブ株から脱落も(トムソンロイター) - goo ニュース

まだリーマンショックの第一波が残っていた昨年10月、NYダウでアムトラックなフェデックスなどの
運輸株が大きく売られる日がありました。そのときCNNでは、「これらの銘柄ももはや景気敏感株として
捉えられている」と報道しました。

アメリカより旅客輸送の要素が強い日本の鉄道会社も、かつてはディフェンシブ銘柄として不況時や
円高の際には、薬品株や食品株などと同じように買われました。しかし、アメリカから遅れること
5ヶ月ほどで、鉄道株も景気敏感株になったといわざるを得ないでしょう。

もちろん誰も電車に乗ることがなくなったわけではありませんし、朝になればやっぱり通勤ラッシュに
揉まれます。しかし、JR3社や観光地向けへ路線を延ばす会社のように、長距離での利用が減りつつある
ことがここにきて言われています。少し前、日本経済新聞の小さい記事でも、新幹線が平日昼間でも、
例年以上にガラガラなのがアナリストの目に映り、不況の波がここまで来ている、というものがありました。
通勤や通学での需要はある程度計算できるのでしょうが、春になれば、定期券を割引率の高い長期の
ものへ切り替えることで、電鉄会社への見入りが減るという見方もあるようです。

また、この記事にはありませんが、日本の鉄道会社は都心部の開発などによる不動産収入も重要さを
増していますが、こちらも不動産市況の低迷を受けていますので、鉄道収入での低下と共に頭が痛い
問題となるでしょう。

しかも、これは致し方ないことなのですが、鉄道会社は安全への投資を怠ることができません。そのことは
4年前の脱線事故でも明らかになったことですが、お金がないからといって、安全を疎かにしてしまうと、
事故が起こった後の信頼回復や裁判費用などがかさみます。

そこに来て、何とか補正予算が国会を通過し、ETC搭載の自動車は高速道路を1,000円で通ることが
できることになりました。これにより、ただでさえ長距離旅客輸送の低迷にあえいでいるJR3社は、
思いっきり打撃を受けることになりかねません。大手の電鉄会社は「鉄冷え」を迎えそうです。

JR・私鉄・運輸〈2008年度版〉 (最新データで読む産業と会社研究シリーズ)
老川 慶喜
産学社

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